集団的自衛権:学校での解説に「偏向教育」印象付けか

 下村博文文部科学相は7月15日の参院予算委員会で、政府が先日新解釈を出した集団的自衛権の行使容認について、学校現場で教師が不適切な解説をおこなった場合は教育委員会を通じて指導する意向を表明した。

 島尻安伊子参議院議員(自民党・沖縄選挙区)が、沖縄県の中学校で集団的自衛権に関して「誤解を与える」不適切な解説をおこなった教師がいることをにおわせた質問をおこない、それに対する答弁となる。

 島尻議員は「誤解を与える」とした詳細な内容については質問では触れず、また質問後のマスコミ取材に対しては「学校名や教師名を名指ししたり謝罪を求めるなどの意図はない」「本人から確認していない」として具体的な内容の指摘を避けた。

 下村大臣は個別の事案については差し控えるとした上で、一般的な内容として「仮に個人的な考え方や一方的な主義主張による不適切な事案であれば、文科省としても必要に応じて教育委員会を通じ指導し、学習指導要領に基づく適切な教育が行われるよう取り組む」とした。

 一見すると一般論での話に見える。しかしことはそんな単純なものではない。あるのかどうかわからないようなあやふやな仮定の内容を前提に話を飛躍させ、「不適切なら指導する」と事前に方針を出すためにおこなったように見える。

 またこれは、何が「不適切」なのかもはっきりしないもとで、政府見解にとって気に入らない内容に恣意的に「不適切」のレッテルを貼って排除するおそれもあるものである。

 他分野では、実教出版の教科書の記述が「不適切」とされて一部教育委員会が採択から排除していることや、性教育の教材に難癖をつけて排除した七生養護学校事件などもある。こういうことが政府・文科相レベルで全国的に起きる可能性がある。

 また歴史認識や性教育問題などでは、極右的な一部保護者や産経新聞などが何でもないような教育内容に言いがかりをつけ、教育内容を恣意的にゆがめて槍玉に挙げて吊るし上げる例もあった。

 この質問は、学校現場への抑制として働きかねない。極めて気がかりなものである。

(参考)
◎「不適切」授業は指導 文科相、集団的自衛権で見解(琉球新報 2014/7/16)
◎「偏向教育印象付け」 島尻氏発言、教員から不安や批判の声(琉球新報 2014/7/16)