滋賀柔道事故、「起訴相当」議決された元顧問を再び不起訴へ

 滋賀県愛荘町立秦荘中学校1年の柔道部員だった男子生徒が2009年7月、部活動の練習中に顧問の講師(当時)から投げられるなどして意識不明になりその後死亡した事故で、大津地検は7月4日、大津検察審査会が「業務上過失致死罪での起訴が相当」と議決したこの講師を再び不起訴処分にした。

 この事故では、生徒同士の練習ののち、顧問講師がこの生徒を指名して、居残り特訓のような形で講師自ら乱取り相手となった。当時の新聞報道では「生徒は意識朦朧状態になっていたが、講師は手を止めずに練習を続けた」とする当時の部員の証言もあった。生徒が倒れてもしばらく放置され、たまたま通りかかった別の教員が救急に通報した。

 生徒は中学校入学後に柔道を始めた初心者で、しかも持病やケガなどが重なって7月初旬に本格的な練習を開始し、経験は実質1ヶ月弱だった。保護者は学校側に対し、体力や体調に配慮してほしいと申し入れていた。

 検察審査会の起訴相当議決を受けて大津地検が再捜査し、地検は「初心者の能力に配慮した練習を指示する必要があり、元顧問は注意義務があったと認める余地がある」と指摘した一方で、急性硬膜下血腫については顧問講師との練習中ではなく、練習序盤での上級生らとの乱取り練習で発症した可能性も否定できないとして、顧問の指導と生徒の死亡との因果関係を刑事事件として立件するのは困難と判断した。

 検察の判断は、強引な展開にも感じて、正直理解に苦しむ。元顧問による練習の指示が不適切だった可能性があったとする一方で、「元顧問の直接的な行為によって生徒の症状が発症したとは限らない」と結論付けるのは、揚げ足取り的にも感じる。

 生徒の症状発症が元顧問の直接的な行為によるものかどうかは別としても、元顧問が「しごき」や「暴力」と批判されてもおかしくないような不適切な練習を課していたことは、疑う余地がないのではないか。それを法的に立件できないというのは、極めて残念に感じる。