産経、大学の講義を吊るしあげる記事:日本科学者会議が批判声明

 広島大学で「従軍慰安婦」の授業をおこなった准教授に対し、『産経新聞』がこれを攻撃する記事を掲載したとして、日本科学者会議広島支部は5月23日、これを批判する声明を出した。

 問題の記事は産経新聞2014年5月21日付『講義で「日本の蛮行」訴える韓国映画上映 広島大准教授の一方的「性奴隷」主張に学生から批判』。

 『産経』記事では、従軍慰安婦を取り上げた講義に対し、受講していた一学生の証言として講義を否定的に描き、従軍慰安婦の存在を前提にした内容として問題視している。

 これを受け、いわゆる「ネット右翼」とみられる人物から、広島大学に抗議・嫌がらせの電話(いわゆる「電凸」)も相次いでいるという。

 『しんぶん赤旗』記事によると、日本科学者会議広島支部の声明では、以下のように指摘している。

授業に対し学生が異を唱えたとしても、それは学生と教員との「相互理解にゆだね」「教員と学生の対話によって解決」すべきものだと強調。外部の報道機関が教育・研究に介入し、「特定の教員の講義内容を攻撃することは、学問の自由への侵害であるとともに、著しく公正を欠く」と批判しています。

 全くその通りである。『産経新聞』は過去にも、性教育や歴史認識など産経や極右派にとって気に入らないと思われる教育実践に対し、吊るし上げて圧力をかけるキャンペーンを繰り返し貼ってきた。

  • 東京都立七生養護学校(現七生特別支援学校)の性教育問題では、極右都議と一緒になって非難キャンペーンを貼った(2003年)。
  • 「つくる会」や極右派に同調し、大学入試センター試験で気に入らないとみなした設問を不適切と攻撃(2004年世界史「強制連行」、2009年日本史「南京事件」、2010年現代社会「外国人参政権」)。
  • 小学校社会科教科書に「仁徳天皇陵」ではなく「大仙古墳」と記載しているのはおかしいという、歴史学・歴史教育の基本を完全無視した難癖(2011年)。
  • 東京都立高校の「政治・経済」の期末試験に対し、「靖国参拝否定に誘導」と難癖をつけて吊るし上げる(2014年)。

 産経の主張そのものは、いずれも学問的には相手にするのもバカバカしいレベルの、くだらない内容ではある。

 しかしこういう非難キャンペーンによって、右派にとって気に入らないとみられるような内容を自粛させられることで間接的に学問や教育活動が阻害されるような危険性もある。こういう圧力はあってはならないことであり、圧力をかけようとする者が策動する余地がないようにしていくことも重要になってくる。

(参考)
広島大の「慰安婦」授業を攻撃 「産経」記事は学問の自由侵害 科学者会議支部が声明(しんぶん赤旗 2014/5/25)