特別支援教育のあり方を考えさせられる対応:入学写真撮影をめぐって

 「朝日新聞」(ウェブ版)2014年4月12日付に『外されたダウン症児 入学写真撮影、クラスの一員なのに 長野の小学校』という記事が掲載された。

 記事によると、長野県内のダウン症の児童は2014年4月に特別支援学校小学部に入学する一方、交流学習として地域の小学校の授業や行事にも参加することになった。小学校では、クラスの一員として児童の席も用意された。

 小学校での新入生の集合写真について、入学前に母親は校長から「ほかの保護者から『なぜ一緒に写るのか』と言われるかもしれないので、お子さんが写るものと写らないもの2種類を撮るか、気を使われるようなら、いっそ最初から一緒の撮影をご遠慮していただくか」と打診されたという。

 母親は悩んだ末、2種類の写真を撮ることを選んだ。一方で母親は「他の子どもたちに『あの子は自分たちとはやっぱり違う』と思われてしまいかねず、とても悲しかった」と感じたという。

 母親から話を聞いた知人が、朝日新聞の読者投稿欄に投稿し、朝日新聞が事実関係を把握して取材をおこなった。校長は事実関係を大筋で認め、以下のようにコメントしたという。

 2種類を撮影することが差別になるという意識はなく、(男児の)お母さんがショックを受けるとは考えていなかった。ご両親には切ない思いをさせてしまって申し訳ない。

 実は、他の保護者から男児が学校に入ることに不安を訴える声もあった。そのことでお母さんが集合写真を一緒に撮ることに不安があって遠慮しているように見えたので、2種類撮るという方法もありますよ、と言ったつもりだった。

 今、考えてみれば、お母さんの気持ちをもっと丁寧に聞いて、一緒に撮りましょう、と強く勧めればよかったと思う。男児は他の児童と同じように大切な一人。これからは男児やほかの子の保護者と連携を強め、子どもたちの交流を深めていきたい。

 校長には差別などの悪意はなく、むしろ善意のつもりでおこなったようにも感じるが、結果的に不十分な対応になってしまったことは否めない。

 この男児を外すことで、障害児は健常児とは別の存在などの間違ったメッセージを発することにつながりかねないという不安も指摘されている。

 特定の誰かを責めるというよりも、この間の事実経過を教訓として、よりよい対応を考えていくことが望まれる。