教育勅語原本の再発見と下村文科相の問題発言

 文部科学省は4月8日、1962年以降所在不明になっていた教育勅語の原本が、文部科学省の保管庫にあったことを確認したと発表した。

 原本は1962年に東京都内の百貨店で一般公開された記録が残るが、それ以降所在不明になっていた。2012年10月に文科省職員が木箱に入った状態の文書を発見した。1962年当時の展示担当者のメモが木箱に入っていたことや、当時の展示物と色などが酷似していることなどから、確認作業を経て原本と判断した。

 歴史研究の史料としては興味深いものであろう。しかしその一方で、下村博文文部科学大臣が問題のあるコメントをしており、これは決して見過ごせない。

 下村文科相は原本発見を受けて記者会見し、教育勅語について「至極まともなことが書かれていると思う。軍国主義教育の推進の象徴のように使われたのが問題だった」と述べたという。

 これはとんでもない話である。教育勅語の内容については、親孝行や兄弟仲良くなどの徳目を並べ立てていることをもって評価する向きもあるが、その徳目はすべて「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」を修飾するものとなっている。

 非常時には天皇を頂点とした国のために尽くしなさい、そのためには命を投げ出してもいとわないという内容である。徳目を並べ立ててもそれはすべて個人の尊重ではなく、国のために自己犠牲をするための準備としてのものでしかない。軍国主義教育そのものの内容であり、到底現代社会では通用するものではない。

 また1948年には衆議院・参議院でそれぞれ、教育勅語の失効、および勅語の内容の原理的性格を否定する決議を決定している。

 このようなものを、歴史資料として批判的に吟味するならともかく、全面的に持ち上げる人物が教育行政の最高責任者ということなど、非常に重大で恐ろしい問題をはらんでいる。

(参考)
◎「教育勅語」の原本か…半世紀ぶりに発見(読売新聞 2014/4/8)
◎教育勅語:原本見つかる 百貨店展示後、半世紀間不明に(毎日新聞 2014/4/8)
◎「教育勅語」の原本発見か 公開へ(NHKニュース 2014/4/8)
◎教育勅語の原本?52年ぶり発見 文科省の保管庫で(朝日新聞 2014/4/9)