「体罰」で依願退職教師、私立高校に採用

 愛知県立豊川工業高校陸上部での「体罰」問題で停職4ヶ月の懲戒処分を受け、2013年4月に退職した渡辺正昭氏(51)が2014年度より私立日体荏原高校(東京都)の保健体育科教諭として採用され、陸上部顧問も担当することがわかった。

 採用の理由について学校側は「実績を考慮した」などとしているという。

 渡辺氏は駅伝で無名校だった豊川工業高校を「強豪校」にした経験を持つ。しかし豊川工業高校では、デッキブラシで頭を殴るなどの「体罰」問題が明らかになった。不登校や転校に追い込まれた部員も複数いたという。渡辺氏は停職4ヶ月の懲戒処分を受け、停職処分期間中の2013年4月には別の学校に異動したが、転任先では授業や生徒指導にかかわることがないまま2013年4月に退職した。

 一方で部員関係者と思われる周辺からは渡辺氏を擁護する声もあがっていた。「指導についていけなかった部員や思うように成績が伸びなかった部員が、逆恨みのやり場に困って教師に矛先を向けて陥れた」かのような悪質な中傷も流された。

 また渡辺氏は退職後も、豊川工業高校の一部陸上部員を「私塾」の形で指導していた。私塾生8人は、渡辺氏の赴任に伴って日体荏原高校に転校したという。

 「体罰」事件は極めて重大な人権侵害である。しかも事故といえるようなものではなく、故意の行為を長期間繰り返していた極めて悪質なものである。にも関わらずそのことはほぼ不問にして、「指導実績」だけで採用するのはいかがなものか。

 「体罰」が問題になって退職した教師が、別の学校に採用されることはこれまでにもあった。しかし新たな赴任先でも再び「体罰」事件を起こす事例も目立つ。「体罰」教師を安易に採用するのはいかがなものか。

(参考)
◎陸上:日体荏原高が渡辺氏を採用 豊川工高で体罰(毎日新聞 2014/4/1)
◎体罰で退職した高校駅伝強豪校の前監督、他校で復帰(朝日新聞 2014/4/1)