文部科学省は2023年3月28日、小学校教科書の検定結果を公表した。2023年夏に採択作業がおこなわれ、2024年度より使用されることになる。
報道によると、以下のような特徴があると指摘されている。
全教科書にQRコードを掲載し、教材と密接に関連する動画などのデジタルコンテンツにアクセスできるようになっている。
また挿絵や教材の配置等は、ジェンダー平等・性の多様性・多文化共生・障がいなど多くの分野での多様性を目指すような構成となっている。報道によると、生け花をする男子・野球をする女子のイラストや、車椅子に乗った児童や外国ルーツの児童のイラスト、イラストでのランドセルの色は黒と赤に限定せずにカラフルになっているなど、アンコンシャスバイアスを打ち破りたいとするねらいがあるとも指摘されている。
これらの内容については、時代の流れでもあり、ありうるのだろうし、またそういう動きは今後より一層進んでいくのだろうという印象も受ける。
一方で道徳教科書では、「国や郷土を愛する態度」を強調する傾向が強まったとも指摘されている。郷土に関する教材について、「国」や「日本」を付け加えるよう求められる検定意見が付いた例も相次いだ。
ある4年生向け道徳教科書では、「地いきの祭りやイベントに、どんなふうに参加していきたいかな」という元の文章が、「日本で大切にされてきたものに、何があるかな」に変更されたという。
また社会科教科書では、発行申請した3社とも、沖縄戦の「集団自決」問題について、軍命でおこなわせたという主体が曖昧になっている記述になっている。この問題は2007年の高校教科書検定で「軍命」が削られて問題になった事例以来、小学校・中学校・高校のいずれの段階でも教科書検定のたびに問題になっているが、今回も修正にはいたらかなったということになる。
道徳教科書や社会科教科書の内容については、現時点で現物を読みこんで検証したわけではないので詳細は控えるが、報道で指摘されている内容から推測する限り、今回も課題があるような印象も受ける。