兵庫県姫路市内の兵庫県立高校で2023年2月に開かれた卒業式で、アフリカ系米国人にルーツを持つ男子生徒が、黒人文化にルーツを持つ伝統的な髪型で出席しようとしたところ、髪型が「校則違反」だとして、式中に本来の席には座らせてもらえず、ほかの生徒から隔離されていたことがわかった。
毎日新聞が経過を報じている。報道によると、以下のような経過の様子。
生徒は、アフリカ系米国人の父親と日本人の母親の間に生まれ、米国と日本の二重国籍だという。
元々、巻き毛で髪が横に広がりやすい髪質だということで、卒業式前の学校の頭髪指導では「髪が耳にかからないように」と教師から指導を受けていた。
生徒は、教師の指導を受けたことや、卒業式を「特別な日」と考えたことを踏まえ、父親のルーツである黒人文化に沿って、髪の毛が広がらないように、「コーンロー」と呼ばれる編み込みの髪型を美容院でセットしてもらった。
しかし卒業式当日、生徒は、教師らから髪型について「これは何や」「校則に合っていない」などと詰問された上、生徒指導室で待機させられた。また両親に対しても、教頭が「息子さんの髪形では参加させられません」と説明したという。
約1時間後、式が始まったときには生徒は式場に連れて行かれた。しかし、同級生のいる卒業生席には座らせてもらえず、ほかの生徒のいない2階席に座るよう指示され、名前を呼ばれても返事しないように求められた。
生徒は「その場にいる意味はない」として、式の途中で両親とともに帰宅した。
生徒はその後、卒業証書や記念品などを受け取るために学校に戻った。しかしそのときも、学校側はこの生徒がほかの生徒と接触しないように、別室に通される・トイレに行くときも教師が同行する・卒業証書などを受け取ったあとに同級生に声をかけようと校内で待っていると「校内から出て行ってくれ」と教師から言われるなどの措置を受けたという。
また生徒の髪型について「どの点が校則違反なのか」という質問には、学校側は「今まで指導してきた内容と違う」と繰り返すのみだったとも指摘されている。
報道の内容では、おおむね上記のようなことが指摘されている。
報道通りならば、学校側の対応はおかしいのではないかとも思える。校則の運用が曖昧なことや、「異質」と判断したものを排除するような対応、海外にルーツを持つ生徒への人種差別的な対応と批判されてもおかしくないような対応など、何重にも問題があるようにも感じる。
このような対応が妥当だというわけではないだろう。