大阪府の私立男子校・清風高校(大阪市天王寺区)で、「清風カット」と通称される独自の髪型を校則で強制されているとして、生徒らが大阪弁護士会に人権救済申立をおこなっていた問題。
申立を審査していた大阪弁護士会が2023年3月20日付で、「教師による頭髪検査に人権侵害が認められる」として、学園理事長を兼任する校長に対して、改善を求める勧告を出した。
勧告には法的拘束力はないとされている。また校則の規定については、「私学教育の自由」として、「丸刈りのように強度な強制ではないので、憲法違反・無効と断じることまではできないと判断したが、生徒や保護者との協議を通じて柔軟な対応を検討するよう要望する」とした。
事案の経過
同校では、校則で髪型を「必ず裾と耳もと全体を刈り上げなければならない」「前髪は自然に前へたらしたとき、眉毛にかからない程度の長さにすること」などと指定している。この独自の髪型は、学校関係者や地域からは「清風カット」と通称されている。学校近隣の理髪店では「清風カットに対応しています」と掲げて営業している事例もある。
同校では月1回の頭髪検査があり、髪が伸びていて規定に違反していると判断された場合は、速やかな散髪を命じられるともされている。また違反の場合は、退学もありうるとも明記されている。
大阪弁護士会は、生徒側・学園側双方から聴き取りをおこなって審査をおこなった。その際に、「頭髪検査の際、一部の教師が生徒の前髪を切るなどの事例があった」ことを確認したとして、社会通念上相当な範囲を超えていると指摘した。
一方で、「校則の規定そのものを憲法違反と結論づけるのは難しいと判断したが、関係者と話し合ってほしい」と要望している。
雑感
申立をおこなった生徒側の立場からみれば、必ずしも十分とは言えない判断であろうと感じるとは思われる。その一方で一部については人権侵害が認められたということにもなる。
法的には微妙なラインと判断されたとはいえども、生徒が苦痛に感じるような形をそのままにしておくのも具合が悪い。関係者の協議も含めて、よりよい方向性になっていくことが望まれている。