千葉県流山市立小学校で2017年、当時1年の男子児童が担任だった教員から「持ち物を故意に壊される」「暴行を受ける」などしたと訴えていた問題で、千葉地裁松戸支部が教員の行為の一部を認定し、市から被害児童側に約66万円の損害賠償を命じる判決を出し、確定していたことが、2023年2月24日までにわかった。市はすでに損害賠償金を払ったという。
経過
2023年2月25日付の「千葉日報」(ウェブ版)、および2019年当時の報道によると、事件の経過は以下の様子である。
児童は2017年度に当該小学校に入学した。2017年9月、担任だった当該教員が、児童の水筒を故意に床にたたきつけて壊すなどした。水筒は、児童が入学祝いとして祖父母からもらったもので、大事にしていたものだという。
また被害児童側は「教員は、児童の首をつかんで絞めるなどもした」と訴えた。さらに児童が「苦しい」などと訴えると教諭は「わざとじゃない」「お前が悪い」などと吐き捨てたとされる。
児童は事件後、指を強く噛んで出血したり、夜にうなされるなど、精神的な後遺症と思われる症状が出たという。2019年11月にPTSDと診断され、転校した。
また学校側は当時、学校側が「児童の発達に問題がある」と一方的に決めつけて中傷し、教員の暴力事件への調査をおこなわなかったとも指摘された。なお医師の所見では、当該児童には発達障害などの兆候はみられなかったと診断されている。
加害教員は、水筒をたたきつけて壊したことは認めたものの、首を絞めるなどの暴行について「指導の際に肩をつかんだだけ」として否定した。加害教員は1年契約の臨時教員で、同年度中に退職したという。
2019年12月、一連の経過がマスコミ報道された。被害児童側は2020年、千葉地裁松戸支部に提訴した。
2022年12月の千葉地裁松戸支部の判決では、教員が水筒を故意に壊したこと、また別の日にはこの児童を別室に連れ出して放置したことなどを認定し、これらの行為は「体罰」に相当するとして、市に対して慰謝料など計66万円の支払いを命じる判決を出した。一方で当該教員が首を絞める暴行を加えたことについては認定しなかった。
判決は確定し、流山市は2023年1月、「緊急性を要する」として、一般会計の予備費から賠償金を被害者側に支払った。2023年2月24日の流山市議会で、市長が当該事案に触れて謝罪した。
雑感
当該教員の行為は、極めて悪質な暴力行為、ハラスメント行為であるといってよい。児童の大切にしていた持ち物を故意に壊すなど、問題外の行為である。首を絞められたことについては裁判では認定されなかったということだが、それでも教員の行為は、児童に対して強い精神的苦痛を与え、精神的な症状を発症させるような、極めて悪質なものであるとも感じる。
また学校・市教委の事後対応についても、適切だとはいえないように感じる。民事訴訟の判決としては確定したが、当時の対応についても独自に検証される必要があるのではないか。