図工授業中の事故、市が二審判決不服として上告

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兵庫県加古川市立小学校で図工の授業中にマイナスドライバーが目を直撃して視力低下などの後遺症が残った児童について、両親が加古川市を相手取り約2400万円の損害賠償を求めた訴訟で、市の責任を認めて市に約2080万円の損害賠償を命じた大阪高裁判決(2023年1月12日)を不服とした加古川市は、2023年1月27日までに最高裁に上告した。

一審では原告側の請求を棄却する判決が出て、高裁では逆転判決となったことで、最高裁の判断を仰ぎたいとした。

経過

事件の経過は、大筋で以下のようになっているとされる。

2019年11月、児童(当時小学校4年)のクラスで図工の授業をおこなっていた。授業担当の教員は釘抜きで木材から釘を抜くことを指示していた。その際、釘抜きでうまく抜けなかったときは、釘の頭にマイナスドライバーを差し込んで抜く方法があるとも言及した。

別の児童がマイナスドライバーで釘を抜こうとした際、マイナスドライバーの先端がこの児童の左目を直撃した。児童は左目の視力低下や、ものが二重に見えるなどの後遺症が出たという。

一審神戸地裁判決では原告側の請求を棄却した。一方で二審の大阪高裁判決では、「道具を本来と異なる使い方をする際は、安全に配慮する必要がある。事故が起きないように教室を注視し、作業の中断などを指示する義務があった」と指摘し、指導教員の安全配慮義務違反を認め、加古川市に対して損害賠償を命じる逆転判決を出した。

雑感

マイナスドライバーを平バールのように差し込んでテコの原理で釘の頭を浮かせ、浮いた釘の頭をニッパーなどでつまみ取って抜くというのは、釘抜きが使えない場合の代用手段として知られている。しかし、そういうのはあくまでも緊急時の代用手段であり、このような行為は道具を目的外に使用することにもあって、ケガのリスクを増やす危険性もあるものになる。

そのような指導が必要だったのかは、疑問にも感じる。

二審で逆転判決が出たことは重いものだといえる。児童がケガをし、後遺症が残っているという事実を受け止める必要があるのではないかとも感じる。上告で法的な解決を長引かせるというのが、適正な手法であるとは考えづらい。

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