担任不在のクラスをやむなく「統廃合」:沖縄県那覇市の小学校

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沖縄県那覇市立小学校で、担任教諭の病休により担任不在となっていたクラスの児童を、学校側の判断で年度途中に学年の別のクラスに振り分けて「学級の統廃合」をしていたことがわかった。事態を把握した那覇市教育委員会は「適切とは言えない」と指導し、2013年1月26日より元の状態に戻すとしている。

経過

『琉球新報』2023年1月26日の報道によると、当該校の経過は以下のようになっているという。

この小学校では、1年の学級を担任する教諭が病休に入った。代替の臨時講師が見つからず、ほかのクラスの担任や管理職らが交代で授業を代行していた。

一方で、低学年児童にはこまめな見守りが必要なことや、新型コロナやインフルエンザなどの影響もあり、教職員の業務負担が過大になっていた。

この様子を苦慮した校長が、学級の「統廃合」を決断し、2023年1月23日より当該クラスの児童をほかのクラスに振り分けて授業をおこなう措置を決めた。学校側は事前に文書で保護者に経過を報告して理解を求め、保護者からは特に苦情はなかったとしている。

事態を知った那覇市議が、那覇市教育委員会に問い合わせて、教育委員会は事態を把握した。市教委が学校側に聴き取りをした上で「適切ではない」と判断し、元の学級編成に戻すことになった。当該クラスはほかの教員らでカバーするという。

教職員不足の弊害

学校側の措置については、緊急事態としては理解できないこともない。子どもの学びや教職員の負担などを総合的に勘案すると、判断としてはひとつの選択肢だったとして、やむを得なかったとも思える。

その一方で、学級編成が規定の児童数を超えて過剰になるという意味で、別の負担が生じることなどの課題もある。

これは学校側がどうこうという話に帰するものではなく、もっと大きな視点で扱うべきものだとも感じる。当該校や当該地域だけの課題に限らず全国的な問題として、教職員の業務負担の増大や、教員免許更新制など、複数の要因が複合して起きた深刻な教員不足が、このような形で現場にしわ寄せが来ているという形にもなっている。教育行政としては、そのあたりのことを抜本的に改善する対策が求められている。

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