いじめ加害生徒氏名開示の判断、二分される:熊本県立高校いじめ

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熊本県立高校で起きた2件のいじめ事件をめぐり、いじめ加害者とされた生徒の情報開示方法に差があると、熊本日日新聞2022年12月30日付『いじめ関与の生徒名「開示」「非開示」、第三者機関の対応に違い 熊本県立高での2件 県「調査の性質異なる」』が指摘している。

対象となった2つの事件は、2013年に起きた熊本県立高校3年女子生徒いじめ自殺事件と、県立東稜高校に2015年度に入学した生徒がいじめで不登校になった事件。

2013年のいじめ自殺事件では、第三者委員会の調査報告書ではいじめの事実が指摘されたものの、被害生徒遺族側にはいじめ加害者とされた生徒の情報は開示されず、遺族は独自調査によって加害生徒の氏名と住所を特定して訴訟を起こした経過がある。訴訟の際にも加害生徒の氏名は開示されず、遺族は熊本県教委に対して加害生徒氏名が含まれる調査報告書の開示を要請したが拒否されているという。

一方で東稜高校のいじめ事件では、調査報告書では、いじめに関与した生徒の氏名について、公表版ではA~Fのアルファベットに置き換えて公表した上で、被害生徒ら関係者にはアルファベットと加害生徒の実名の対照表を別紙として渡す措置をとったという。東稜高校の事案については、熊本県教育委員会は「被害者は存命で、関与した生徒を特定して被害を訴えた。生徒名は既知の事実だった」としているという。

では、2013年のいじめ自殺事件では、なぜ加害者の氏名を伏せるのかという疑問が出る。被害者が存命かどうかに関わりなく、いじめの被害を訴えていること・いじめによって重大な事態が生じた事案であることには変わりがないのに、なぜ加害者の氏名を伏せる必要があるのか。公表の判断を左右するほどの「性質の違い」があるとも思えない。

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