静岡県立高校で2016年、教員が女子生徒に対して過剰な叱責を加え、被害生徒が校舎から飛び降りて大けがをする事案があった。この事件では被害に遭った元生徒が静岡県を相手取り提訴し、学校側の指導の過失を認めて静岡県に220万円の損害賠償を命じる判決が、2022年に確定した。
この事案について被害元生徒と代理人弁護士は2022年12月26日、教諭の懲戒免職処分を求める文書を静岡県教育委員会に提出し、記者会見して事実関係を公表した。
事件の経過
事件は2016年10月に起きた。この女子生徒が研修に参加できなくなったことに立腹した教諭は、電話などでこの生徒を翌日未明まで罵倒した。さらに翌日も呼び出すなどした。生徒はその直後に校舎3階から飛び降りて重傷を負った。
生徒は2019年、静岡県と教諭・校長を相手取り提訴した。一審静岡地裁では2022年5月、教諭の行為を不法と認定して静岡県に220万円の損害賠償を命じる判決を出した。一方で校長が教諭の移動など必要な措置を怠ったとする生徒側の主張については退けたことから、生徒側が控訴していた。二審東京高裁判決では2022年12月7日、一審を支持して控訴を棄却する判決を出し、確定した。
生徒は記者会見で「教諭から『学校をやめろ。選択肢はないからな』と脅されるなどし、人格否定された恐怖は忘れられない」「自分は、楽しみにしていた修学旅行や研修に参加できなかったにもかかわらず、今でも変わらない生活を送り続けている教諭を一生許すことはできない」などと訴えている。
訴訟での判決の内容は必ずしも十分ではない部分もあるようだが、教諭の不適切な行為によって生徒を不必要に追い込んで重大な事態を招いたという核心については否定できないものとなっている。教諭の行為は極めて不適切なものであり、厳しい対応も必要ではないかとも考えられる。