兵庫県尼崎市立尼崎高校で2020年、野球部の20代男性コーチが部員に対し、対外試合での「サイン盗み」を強要し、部員1人がショックでうつ状態に追い込まれていたことが、2022年12月までにわかった。
経過
報道によると、事件の経過は以下のようになっている様子である。
コーチは2020年9月、秋季大会の試合前にレギュラー部員らを集め、「三塁コーチが相手捕手のサインを盗み、打者にジェスチャーを送れ。できないなら背番号を返してもらう」と指示した。またコーチは自身の指示について、「ほかの部員や保護者には言うな」と口止めを図ったという。
当日の試合で三塁コーチだった部員は当日の試合ではコーチの指示に従わず、「サイン盗み」はしなかったという。しかしこの部員は、この日をきっかけに不安や嘔吐などの精神症状を発症し、部活動に参加できなくなった。「うつ状態」と診断されたという。
約2週間後に学校に連絡があり、事態が発覚した。学校側はコーチとの契約を打ち切った。
監督についても、事前にコーチから「サイン盗み」の計画を打ち明けられて、「もし見えたら、やったらええんちゃうか」などと容認していたと受け取れる言動をとっていた(※本人は、「不正を許容したものではない。サインが見えたらしょうがないので、違反とまでは言えないという程度の認識だった」と主張)ことなどから、学校側は年度末まで指導を自粛させた。監督は2021年度に他校に転任した。
生徒に対して不正を強要するという圧力があり、そのことによって生徒をうつ状態に追い込んだという経過は、とんでもないことである。こんなこと、学校現場ではもちろん、社会一般でもあってはならないことである。