生徒自殺事案で不適切指導指摘された元担任教諭、別の児童への暴行で起訴猶予処分に

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熊本市立中学校に進学したばかりの男子生徒が2019年4月に自殺し、小学校6年時の担任教諭の指導が一因だと指摘された問題で、当該教諭が2018年度に別の児童に暴力を振るい起訴猶予処分になっていたことが指摘されている。『熊本日日新聞』2022年11月14日付が報じている。

経過

新聞報道や、熊本市教委が公表した調査報告書の内容を総合すると、以下のようになっている様子。

自殺した男子生徒は2018年度、6年のクラス担任だった教諭から日常的に威圧的な指導を繰り返し受けていたとされる。

男子生徒個人を直接的な標的にした「体罰」や暴力行為・暴言などは調査報告書では確認されていないという。その一方で、教諭は2018年度に担任したクラス、また同校で過去に担任したクラスおよび一時期担当した教科専科の授業、部活動なども含めて、常習的に、「何かあると、別の児童に対してその児童のどこが悪いのかを指摘させる」「『死ね』などの暴言を日常的に繰り返す」などの威圧的な指導を繰り返し、クラス全体を萎縮させていたと指摘された。これらの経緯があり、生徒を心理的に追い込み、抑うつ症状の発症・悪化につながったと指摘されている。

熊本市立中学校生徒自殺事件(2019年)
熊本市立中学校に進学したばかりの男子生徒が2019年4月に自殺し、背後に小学校6年時の担任教諭の不適切指導が指摘された問題。経過熊本市立中学校に入学したばかりの1年の男子生徒(以下Aさん)は2019年4月18日夜、マンションから転落して死亡

教諭は2014年度に当該校に着任した。2014年度・15年度は学級担任を受け持ったが、担任クラスや部活動などで児童に威圧的な指導を繰り返すなどのトラブルを繰り返した。2015年度には部活動指導中に、部活動に所属していた当時小学校6年の女子児童(自殺した男子生徒の姉)に対して暴言を吐いたことで、保護者が抗議したことがあったという。

2016年度以降は「児童や保護者との関係が不安」と管理職から判断され、元々その教科の専門ではないにもかかわらずある教科の専科(教科名は調査報告書では黒塗り公表)を担当することになった。専科担当時代にも、教諭は威圧的な指導を繰り返して問題になっていたとされる。授業中に児童の胸ぐらをつかむなどの事件を起こして教頭から注意を受けた際、教諭は逆に教頭を威圧するなどしたともされる。

2018年度には、教諭は6年の学級担任になった。6年担任になってすぐの2018年4月、自殺した生徒とは別の男子児童に対して、この教諭が児童の胸ぐらをつかんで押しつけるなどの「体罰」・暴力行為を加えた。暴力事件の被害児童は、自殺した生徒とも仲がよかったという。被害児童は教諭の暴力行為で首の打撲傷や急性ストレス障害と診断された。登校できなくなり、その後転校を余儀なくされた。被害児童の保護者が暴行罪で警察に被害届を出したが、起訴猶予処分になっている。

熊本市教育委員会の第三者委員会の調査報告書では、この教諭の2018年4月の暴行事件の顛末は記載されているが、その後の処分の経過などについては公表版では黒塗りになっていた。

雑感

2014年以降、児童に対して常習的な暴力や不適切指導が問題になっていた、また児童に対してだけでなく同僚教職員へのパワハラや威圧的な言動もあったと指摘され、保護者や同僚教員が繰り返し、学校側や熊本市教委に訴えていたとも指摘されている。

このようなことを長期にわたって繰り返していた教員に対して、実効ある措置をとれなかったことで、生徒を追い詰めて最悪の状況を招いたということがうかがえる。極めて残念なことである。

調査報告書が出されたものの、さらに検証を深めて教諭の行為をより詳細に分析した上で、このような事態の再発防止を図っていく必要がある。

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