中学校教科書採択で汚職事件発覚:大阪府藤井寺市

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大阪府藤井寺市立中学校の教科書採択をめぐり、汚職事件があったことが発覚した。

事件の経過

2021年度中学校教科書採択の際、教科書の選定委員を務めていた市立中学校校長(2022年3月定年退職)が、採択作業中の2020年4月から7月にかけて教科書発行会社「大日本図書」の関係者と接触した。

校長は会社側に、非公開の教科書調査委員の名簿や教科書の検討分析にかかる内部資料などを漏洩するなどした。また採択審議の際に、採択の最終候補として残るなどするよう便宜を図るなどともした。

会社側は校長に対して、謝礼3万円を支払い、飲食やゴルフなどの接待をおこなっていたとされている。

校長は選定委員の会議で、大日本図書の教科書を評価する発言をおこなうなどした。また会社側は、大日本図書の教科書のアピール点を校長に説明するなどした上で、選定委員に接触するなどの営業活動をおこなっていた。

大阪府警は2022年11月2日付で、元校長を加重収賄容疑で、大日本図書の元取締役と関西支社社員を贈賄容疑で書類送検した。

校長は2022年4月より藤井寺市教育委員会事務局に再任用されていたが、その後辞職したという。元取締役は2022年10月に辞任した。

藤井寺市立中学校(3校、2021年度の生徒数は合計約1450人)では、採択替え前の2020年度までは、保健体育1教科のみで「大日本図書」の教科書が採択されていた。

同市の教科書採択は、教科書選定委員の評価が上位となった最終候補の教科書を明示して提示したうえで、教育委員会会議で最終的に選択する形になっている。

2020年に実施された2021年度採択では、理科・数学・保健体育の3教科で採択の最終候補として提示され、教育委員会会議では数学と保健体育の2教科の教科書を採択した。

不正は問題

2020年夏の中学校教科書の採択過程では、全国的には、社会科歴史・公民教科書をめぐる歴史修正主義的なもの、不正やそれに近い強引な形での歴史修正的教科書の採択策動と対応が大きな課題になっていた。その裏では、このような事件が起きていたということになる。

汚職の形で、教科書採択の公正性がゆがめられた可能性があることは、極めて問題である。

藤井寺市教育委員会は、当時の採択の過程を独自に調査・検証の上で、必要な場合は現在使用中の同社の数学・保健体育の教科書の採択替えもありうるとする見解を示した。

汚職による不正行為でごり押しされた疑惑も生じているというのは、看過できないことである。徹底的に検証した上で、採択替えも含めた必要な措置がとられるべきであろう。

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