大阪府教育委員会は2022年9月30日、「美術室へのエアコン設置を求めるビラを配布したことで、生徒に不安を与えた」などとして、高槻市立中学校で美術科を担当する男性教諭(60)を停職3ヶ月の懲戒処分にした。
当該教諭は大阪府に対して、懲戒処分への不服審査を申し立てる意向だという。
経過
高槻市立中学校では、美術室を含む特別教室にはエアコンが未設置となっている。当該教諭の勤務する学校では、美術室で美術部の部活動中に、生徒2人が熱中症になる事案も生じたことなどもあり、当該教諭らは学校や高槻市教育委員会に対し、エアコンの早期設置を求めていた。
しかし勤務校の校長は教諭に対し、エアコンの設置を求める活動を妨害するような行為をおこなったとされる。当該教諭は校長などの行為で苦痛を受け適応障害を発症したとして、別途提訴している。

高槻市は、2023年度にも特別教室にエアコンを設置する方向で準備しているとした。
大阪府教育委員会は、「2022年6月に、当該教諭がエアコン設置を求めるビラを配布したことなどで、生徒に不安を与えた」として、教諭への懲戒処分をおこなった。
処分は不当
経過をみると、処分は明らかに不当なものであると感じる。学校現場の状況を把握して改善を求めることを処分対象とすること自体、ありえない強権的な対応である。
学校を管理する高槻市教委、および教員の人事権を持つ大阪府教委が、自分たちの対応のまずさを棚に上げて、教員の行動を敵視して、とってつけたような不当処分をおこなったものだと感じる。
またこのような措置は、当該案件にかかる個別の話に限らず、「教員は教育行政に黙って従え、改善などを申し立てるな」などとするメッセージともうかがえ、学校現場をより萎縮させることにもつながりかねない。
教諭への懲戒処分は、不当な措置だと感じる。撤回されるべきである。