福岡県中間市の通園バス園児取り残し事故、初公判

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福岡県中間市の私立双葉保育園で2021年7月、園児が送迎バスの中に取り残されて熱中症で死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた女性園長(当時。事故発生後に辞任)(45)と、女性保育士(59)に対する初公判が、2022年9月26日に福岡地裁で開かれた。

いずれの被告も起訴事実を認めた。

経過

事件は2021年7月に起きた。送迎バスは自家用車や商用車としても一般的に幅広く使われている車種を幼稚園バス向けに改造した仕様で、事故当日は元園長が1人で運転し、添乗員などは同乗していなかった。

当該幼稚園では送迎バスの乗車の際に乗車確認カードを回収する手順となっていたが、元園長は普段からカード回収の手順を省略していた。

降車時には園から保育士が迎えに出て降車の介助をおこなったが、元園長も保育士も車内を確認していなかったとされる。降車時には別の園児が大声で泣いていたことで、そちらに気を取られたとも話しているという。園長は、園児が車内にいたことに気づかずに車を施錠し、取り残された園児は熱中症で死亡した。

園長は初公判で、幼稚園とも比較的近い地域にある北九州市小倉北区で2007年に起きた、園外保育の送迎車車内に園児を取り残したことで発生した熱中症死亡事故に触れ、「北九州市の事故を認識していたが、自分が同様の事故を起こすとは思っていなかった」ともした。

雑感

刑事事件としての処分については、しかるべき判断がなされることになる。しかしながら刑事事件としての結論がどうなっても、それよりもまずは、公判の形でも、事件の経過を詳細に明らかにするというプロセスを経て、同種事件の再発防止策を検討していくことが必要になる。

折しも2022年9月には、静岡県の認定こども園で、報道経過をみる限りは今回問題となっている福岡県中間市の事故と類似した構図で、園児を通園バスに取り残して熱中症で死亡させる事故が発生している。

何よりも、このような痛ましい事故を再発させないような手立てを検証していくという視点こそが必要ではないかと思われる。

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