デリバリー弁当給食、生徒からの評価は分かれる:横浜市立中学校

スポンサーリンク

横浜市では「デリバリー弁当」方式による選択制の中学校給食を導入し、2026年度をめどに、デリバリー方式での全員給食実施を目指している。

横浜市は2022年6~7月にかけて、市立中学校の生徒約1万3600人と保護者約8500人を抽出し、中学校給食に関する調査をおこなった。しかしこの調査では、デリバリー方式が必ずしも支持されているわけではないという結果が浮かび上がったとされる。

毎日新聞がアンケート結果を入手したとして、同紙2022年8月19日付で『「デリバリー方式」生徒の評価二分 横浜市「全員給食」アンケ』の記事にして報じている。

デリバリー給食への評価

記事によると、デリバリー弁当方式給食への評価は二分されているという。

利用したことがあるかという問いには、半数以上が「利用したことがない」と答えた。その理由については、「利用したことがない」と答えたうちの4割弱が「おいしくなさそう」と回答した。

デリバリー弁当を使用したことがある生徒に対して、満足度を5段階で回答してもらったところ、以下のような状況になっているという。

また生徒にデリバリー方式の満足度を5段階で評価してもらったところ、「満足」「やや満足」に当たる評価の合計と「不満」「やや不満」に当たる評価の合計がともに3割超で、二分される結果となった。
毎日新聞2022年8月19日(ウェブ版)『「デリバリー方式」生徒の評価二分 横浜市「全員給食」アンケ』

「デリバリー弁当」での全員導入方式にこだわらなくてよいのでは

デリバリー弁当方式での中学校給食は、自校調理方式や給食センター方式などほかの方式と比較しても「コストが安く、早期に導入できる」などとして、各地で導入する事例がある。

しかしその一方で、必ずしもそれが理想的な給食だといわれればそうではなく、問題も多発している。

温度の管理・調整の関係で「おかずが冷やされた状態で出てきておいしくない」などの不満が大きく生じる、また異物混入事案なども頻繁に生じるなど、導入した自治体では必ずしも生徒から好評ではないという事案が生じている。

他自治体での状況

かつて大阪市では、デリバリー弁当での選択制中学校給食を2012年度に導入した。中学校給食の実現を公約に掲げた平松邦夫市長が道筋を付けて導入が決まったものだったが、導入決定と実際の実施との間に大阪市長選挙があり、実施時には橋下徹市長に交代していた。実際に導入後、利用した生徒からは不満が出て選択率が低迷したが、橋下市長は「選択率低迷対策」として、2014年度よりそのまま全員給食に切り替えた。選択率が低いから全員給食にすることで必然的に喫食率100%にはなったが、その反動で生徒からの不満を拡大させ、大阪市での中学校給食問題は混乱を極めた。

初期には、常温でも食べられる、非常食対応も兼ねられるようなレトルトカレーが袋のまま出てきたこともあった。異物混入問題も相次いだ。大阪市会が市内の小中学生を対象に夏休みに開催している「子ども市会」でも中学生からの議題となるなどした。

大阪市は2015年8月になって方針を変更し、「数年かけて、学校調理方式(自校調理方式と、近隣の小学校で調理したものを中学校に運搬する親子調理方式を、各学校の状況に応じて併用する方式)に移行する。移行が実現していない学校では、実現までの間、暫定的にデリバリー弁当と家庭弁当との選択方式とする」とした。移行措置は4年後の2019年2学期に完了した。

神奈川県大磯町では、デリバリー弁当の全員喫食制中学校給食を導入したことで、生徒からは不満が高まり、「残食率が多すぎる」「異物混入」などの問題が指摘されて2017年に大問題になった。大磯町では一旦導入した中学校給食を2017年10月に「休止」し、新たな自校調理方式での中学校給食制度導入を検討し準備している。

東京都町田市では、選択制のデリバリー弁当中学校給食が2015年に導入された。しかし選択率の低迷や、市民団体が独自調査をおこなった結果「おかずが冷やされておいしくない」「選択制では利用しづらい」などの声が多く上がったなどとして、市民から改善を求める請願が繰り返し出された。2021年度になり給食センター方式への転換が打ち出されている。

適切な対応を

他自治体で実際に起こったことなどを考慮すると、横浜市で選択制デリバリー給食をそのまま全員喫食制にすることは、対応策としては一番まずい選択肢だという気がしてならない。

横浜市が自校調理方式や給食センター方式など他形式には消極的で、デリバリー弁当方式を推進するのは、「校内に給食室の用地がとれない」「給食センターなどの設置場所などのめどもない」「仮に実施するとしても10年単位での時間がかかる」などとしている。

上記の他自治体のように、当初は絶対に無理扱いしていたところでも、市民の世論を受けて計画を再検討すると、短期間での転換がおこなえたということもある。横浜市でもデリバリー弁当方式に固執せずに、他の方法も検討すべきではないだろうか。

タイトルとURLをコピーしました