文部科学省は2022年4月、特別支援学級在籍児童・生徒の学習について、授業時間の半分以上となる週15時間以上を特別支援学級で学ぶよう求める通知を出した。
それに対して、保護者や教員からは不安の声が上がっているという。朝日新聞「Edua」が2022年7月27日、大阪府での声をまとめた記事『大阪の「ともに学ぶ教育」が変わる? 「特別支援学級で半分以上の授業を」文科省通知が波紋、分断危ぶむ声も』を出している。

記事では、大阪府内の小学校の特別支援学級に在籍する児童を持つ保護者や、小中学校の教員からの声をもとに記事を構成している。
記事で紹介されている内容
大阪府では歴史的に、障がいを持つ児童・生徒が普通学級でともに学ぶという発想や実践が他地域よりも強い傾向がある。特別支援学級在籍の児童・生徒は、特別支援学級で授業を受ける時間もあるが、普通学級での授業に特別支援学級担任が補助に入る「入り込み」方式での指導を受ける時間も多いとされる。
大阪府内のある市では、従来は普通学級での「入り込み」を主におこなっていたが、文科省の方針を受けて、特別支援学級在籍者は週授業時数の半数にあたる週15時間以上を特別支援学級での授業で学ぶとした上で、支援に要する時間がそれ未満と判断された児童・生徒は「通級指導教室」などの活用や、普通学級で退職教員や大学生などの非常勤支援員の補助を受けるなどとする、新しい方針を出した。
このことで、支援員の採用体制やスキルなども不透明などとして、支援を要する児童・生徒への支援体制が弱まってしまうのではないかとも指摘された。
このようなことが、記事で紹介されている。
一律での対応はどうか
個別指導に要する時間を「週の半分以上」と一律に区切っても、実態に合わない部分が出て具合が悪いのではないかとも思われる。障害の程度や支援を要する程度などは一律・画一的なものではなく、個別の状況によって異なってくるという性格のものである。
個別の児童・生徒が置かれた状況から出発して、学校は必要な対応を考えて実践し、また教育行政は学校側の教育実践を十分に支援できるような体制であること。これは特別支援教育のあり方に限らず、学校教育全般にもかかわることである。
一律的な対応ではなく、個別の状況に応じた体制がとれるような仕組み作りこそが求められている。それに逆行するとも解釈できるような通知はあまりよくないとも思われるし、各現場で柔軟な対応ができるような体制づくりこそが重要になっている。