読売新聞の取材調査によると、GIGAスクール構想によって学校に配布された学習用端末を使用したいじめが、2020年以降少なくとも全国25自治体で47件認知されていたことがわかった。読売新聞2022年6月6日付が報じている。
調査の内容
読売新聞は2022年2~4月にかけて、政令指定都市・県庁所在地の市・中核市・東京23区の各教育委員会計109ヶ所にインターネット形式での回答を依頼し、97自治体が回答したとされる。
具体的ないじめの内容としては、「端末に入っている学習用ソフトの通信機能を使い、別の児童の端末に『ばか』『死ね』など悪意あるメッセージが送る」「閲覧者を限定できる端末の機能を悪用し、同級生の悪口を送り合っていた」「カメラ機能を使い、撮影した児童の顔に落書きをする。嫌がる同級生を隠し撮りする」「他人のID・パスワードでログインして不適切な内容を書き込む・不適切なサイトを閲覧するなどする『なりすまし』」などがあったとされる。
ID・パスワードの入手方法については、「盗み見る」「出席番号などから類推」「相手の児童生徒から教えてもらう」などがあった。
総合的な対応を
「ネットいじめ」は、文部科学省の調査によると、2020年度に1万8870件が確認されたとしている。この数字は、私物のスマホや自宅PCなどを経由したものも含まれているので、「学習用端末」だけの問題ではない。
「学習用端末を使ったいじめ」という狭い範囲に限定するのではなく、ネットリテラシーや情報セキュリティ全体の問題としての対応、またそれだけでなく一般的ないじめへの対応などについても、別個のものではなく根底ではつながっているものだととらえて、それぞれの課題についてていねいに対応していく必要があるものだと考えられる。