「校歌指導や丸刈り強制などで不登校に」損害賠償訴訟、棄却:熊本県立高校

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熊本県立済々黌高校(熊本)に通っていた元生徒の男性(20歳)が、「入学直後の上級生による校歌指導や部活動での強制的な丸刈りなどの『シメ』といわれる行為で精神的苦痛を受けた」として、熊本県を相手取り1円の損害賠償を求めた訴訟で、熊本地裁は2022年5月30日、「シメ」と呼ばれる行為はなかったと判断し、原告側の請求を棄却した。

請求額の「1円」については、誤記・誤植ではなく、「おかしいことはおかしいと認めてほしいという気持ちが一番の思いだが、賠償金額を明示しないと裁判が受理されない」ということから、原告側があえて設定したものだという。

事件の経過

済々黌高校は旧制中学から続く学校で、「バンカラ」な校風だと認識されているという。

元生徒側の訴えによると、済々黌高校では入学直後、応援団の上級生が新入生に校歌指導をすることが恒例となっているという。その際に応援団は新入生に対して「声が小さい」などと大声で威圧するなどした。応援団の上級生は、原告元生徒を集団で取り囲み「なぜ校歌を覚えていないのか。ぼーっとするな」などと威圧したともされる。

また元生徒は、「シメ」の一環として、所属していたソフトテニス部の部活動で丸刈り強制の被害にも遭ったと訴えた。

生徒がこれらのことが重なってショックを受けて不登校になり、退学を余儀なくされたと訴え、2019年までに熊本地裁に提訴した。熊本県の責任については、学校側が「シメ」行為を放置したのは安全配慮義務違反にあたるとした。

一方で熊本県は、校歌指導は「学校の一因になれたという実感を得られる。長年の伝統」だとして、「シメ」行為を否定して請求棄却を求める主張をおこなっていた。

ほかの元生徒からの証言

一方で西日本新聞2022年5月30日付の記事『怒鳴って校歌指導、丸刈り強制…「シメ」はあった? 退学した済々黌元生徒が賠償請求』によると、同校に在籍していた複数の別の元生徒による証言が記載されている。

6年前に卒業した男性によると、入学直後に応援団の上級生が教室に押しかけて、机を叩くなどして「だらだらするな」と威圧しながら、校歌指導をおこなっていたという。この男性は「自身は知り合いの上級生から『茶番みたいな脅しがある』と事前に話を聞いていたので、それほどショックを受けなかったが、そういうことがなければショックを受けた生徒もいたと思う」などと話した。

また別の男性も「上級生が『シメ』を楽しんでいた。学校側も黙認していた」と感じていたという証言を寄せている。

さらに別の女性も、「自分も『シメ』にショックを受けて不登校になり、退学した」と打ち明けたとされる。

裁判の判決としては「認められない」という結果にはなったものの、それとは別に複数の証言が新聞記事の形で紹介されていることになっている。

複数の証言がすべて「嘘」「作り話」だとも考えにくく、少なくとも生徒が苦痛を感じるような「伝統」があったのではないかとも推測される。

判決の内容が妥当なのか、検証を要するのではないかとも思われる。

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