「教育」理由にした改憲主張出る:衆議院憲法審査会

衆議院憲法審査会が2022年5月26日に開催され、一部政党からは教育を理由にした改憲の主張が出された。

自民党は、現行憲法に「教育の理念が示されていない」として、教育のデジタル化やリモート教育といった事例を出しながら「環境の変化に応じた教育の理念について、憲法を改正し規定すべきだ」と主張した。

また維新は、教育の無償化を明記する憲法改正案を訴えた。

一方で立憲民主党は、「教育予算を増やすべき。そのことは憲法を改正しなくてもできる」と指摘し、現行法の枠内で教育無償化などを進めることは可能だし進めるべきだとした上で、教育を理由とした改憲を否定する見解を示した。

「教育を理由にした改憲」は成り立たない

改憲の理由として「教育」をあげる主張もある。しかし教育については、現行の憲法でも憲法26条の「教育を受ける権利」を中心に規定されている。そのことを具体化するためには、憲法改正を要せずとも、憲法の「法律の定めるところにより」を具体化する形での、行政・立法の施策次第で可能なものとなっている。

教育無償化やその他の施策についても、具体的な法律を作った上で実現は可能となっている。憲法によって教育無償化に制限を加えられているという事実はない。実際に、義務教育の教科書や公立高校授業料などの部分的な無償化施策は、現行憲法とそれに基づく具体的な法律によって実現している。議会や行政の「やる気」次第ということになる。「教育無償化」を持ち出して改憲の口実にしようとするのは筋違いだといっていい。そういうことを主張する政党の改憲案はそれだけでなく、基本的人権の縮小・制限や「統治機構改革」と称した強権発動を可能とする方向性などの内容とも抱き合わせになっているという意味でも危険である。

教育の理念などについては、憲法という形でくくるのは、時代の変化などに対応できなくなる可能性などもあってふさわしくないと考えられる。教育の理念や具体的な課題への対応方法などの細かい内容については、教育基本法や、学校教育法なりその他の法律がカバーする範疇となっている。デジタル化やリモート教育などについても、確かに憲法制定時には想定もされていなかったのだろうとは思われるが、現行憲法の範囲内で個別の法律等を整備することにより十分に対応可能となっている。憲法をいじらなければどうにもならないというような課題ではなく、改憲には理由がないと感じる。

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