熊本県の私立秀岳館高校のサッカー部で、コーチが部員の生徒に暴力を加えた動画がインターネット上で流れ、その後サッカー部員らが実名・顔出しで暴力事件を「自分が悪い」かのように謝罪する動画が流された問題。
この問題に関連して、サッカー部の指導者が、動画アップに関与したとされる生徒の実名を挙げながら「自分は被害者だ」「仲間の弁護士に相談すれば(生徒を)訴えられる」と恫喝するような発言を繰り返したとする新たな音声がインターネット上で公開されたという。

音声が録音されたのは、2022年4月22日のサッカー部の寮内での朝の点呼時だとされる。サッカー部寮では部員の9割が生活しているとされ、また発言は、寮内に住み込んでいる監督のものだとされている。監督は学校では、校長補佐の校務も兼任しているという。
コーチの暴行の様子の動画は2022年4月20日に公開されたとされ、翌日21日にはネットを見た人から学校へ批判・抗議があり、動画の存在を把握した地元警察署も動いて関係者への事情聴取などもおこなったという。
それらの経緯を受けての、22日朝の発言だとされる。
監督の発言とされる音声では、以下のようなものがあった。
「(動画撮影やアップに関与したとされる生徒Aと生徒Bを名指しして)加害者だ。俺たちに対する。だから俺たちは被害者。意味わかる?」
「俺がお前訴えたらどうする?俺がお前な、これもう迷惑かかっとる、完全に。」
「俺の仲間の弁護士たちに、俺が『被害を受けた』っていうて、俺が(生徒Aと生徒Bの実名)を訴えたらどうするか?」
「本当は謝って済むような問題じゃない。これだけの騒ぎになって。それは間違うなよ。損害賠償請求とかってな、いう話になるだろう。」
恫喝としか受け取れない発言である。事件の隠蔽にしても極めて悪質な部類に入る。
暴力行為が一番の問題なのに、それを不問にして、告発することで「妨害行為」をおこなったのが悪いかのような言い分、しかもまるで「生徒の行為は犯罪行為ないしは不法行為であり、自分は被害者だ」とすり替えての恫喝という、許せない威圧であり、いじめ行為に類する行為である。
こういう経過があれば、サッカー部員が不自然な「謝罪動画」を出すことにつながる圧力になったということも不自然ではないということになる。
守られるべきは、コーチからの暴行の被害に遭った生徒であり、また動画で告発した生徒やその他の部員である。指導者の行為を生徒に責任転嫁するような恫喝は、とんでもないことである。