「大阪市立の高校の大阪府への無償譲渡」違法と訴える住民訴訟、退けられる:大阪地裁

大阪市立の高校が2022年4月に大阪府に移管される問題。この問題については、大阪市が大阪府に対して、校舎や土地など学校にかかる資産の一切を無償譲渡することを決めた。

このことについて、市会の議決を経ずに市長の裁量で無償譲渡との決定をおこなったのは地方財政法や地方自治法に抵触するなどとして、市民らが差し止めを求めていた住民訴訟で、大阪地裁は2022年3月25日、原告側の請求を棄却した。

原告側は控訴するとしている。

無償譲渡の背景

大阪市政与党・大阪維新の会が推進する、大阪市を廃止して大阪府に一元化するいわゆる「大阪都構想」を背景に、「大阪府と大阪市が同種の施設を所持しているのは二重行政」などとして、大阪市が運営する施設の「府市統合」と称した廃止や移管などが策動された。

対象にされたのは港湾・大学・病院など多種多様な施設に及ぶが、大阪市立の高校についてもやり玉に挙げられた。

いわゆる「大阪都構想」は2度の住民票を経ていずれも明確に否定されたものの、維新は首長と議会を握り、なし崩し的に大阪市の財産を大阪府につけ替える行為を強引に強行してきた。高校についても、いわゆる「大阪都構想」の動向とは関係なしに、市立の高校を府立に移管する構想を2019年に持ち出して具体化させた。

高校の府立移管は、学校の教育活動のあり方などの教育的観点からみても暴挙である。この点についても別個の論点になっているが、今回裁判で争われた内容は「市の財産」という側面が主となっている。

大阪市立の高校を府立に移管する際、高校にかかる資産の一切を無償で大阪府に譲渡する方針が打ち出され、市会で審議されることもなく市長の裁決で決定された。

このことは、大阪市が持っている財産を毀損させ、大阪市民に損害を与えていると指摘された。

大阪市立の高校では「新工業系高等学校」として、現在の市立工業高校3校を統廃合して1校にする構想案が大阪市教委によって打ち出されている。統廃合構想案をまとめたのちに府立移管の話が持ち上がった経過から、実際の統合案については府立移管後に大阪府が細部を詰めるとみられている。仮に統合された場合、使われなくなった校舎・校地の活用や売却などは大阪府がおこなうことになり、大阪市や市民が関与することができなくなる、仮に売却した場合の売却益は大阪府に入り大阪市には入らないと指摘されている。

大阪府では「3年連続定員割れの高校は再編を検討」という条例があることから、統廃合が打ち出された3校のみならず、ほかの現在の市立の高校も含めて府立移管後に再編対象にされる可能性がある。その場合も、校地・校舎についても同様のことになる可能性が出ている。

市民の財産を毀損することに加えて、手続き上もおかしいのではないかと指摘されたという経過。地方財政法では、都道府県立高校の建設費用を市町村に転嫁することはできないという規定から、大阪府への無償譲渡は実質的には大阪市に建設費用を転嫁したものとなっていて違反だと、原告側は訴えた。また市会の議決を経ていないことも問題とした。

しかしその訴えが退けられたということになった。

大阪市の対応はおかしい

市民の財産という観点からも、大阪市の対応は異常だと判断する案件であろうと感じる。こんなことが市長の裁決だけで通ったのはおかしい。

訴訟で原告側の主張が認められなかったことは、残念に思う。

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