大阪市立の2中学校の夜間学級(夜間中学)を統合する計画が検討されていると、2021年11月に複数のマスコミで報じられた。
大阪市教育委員会は産経新聞の取材に対して「現時点では何も決まっていない」とコメントしたという。
その一方で報道によると、天王寺中学校(天王寺区)・文の里中学校(阿倍野区)の2校の夜間学級を2024年度にも統廃合し、同年度に旧日東小学校(浪速区)に「不登校特例校」を設置して夜間学級を併設する計画が構想されているとしている。両校の学校関係者への説明会もおこなわれたという。
夜間学級とは
夜間学級は、戦後の混乱で義務教育を修了することができなかった学齢超過者向けに自主的に開設されたのがはじまりだともいわれ、その後行政が公式に設置する事例も生まれた。
時代の経過によって歴史的役割を終えたものではなく、むしろ逆に、教育を受ける権利としての新たな必要性が指摘されている。時代が下ると、不登校などで在学中に十分な教育を受けられなかった学齢超過者や、本国で義務教育を修了できないまま外国から来日した人などの学びの場として、夜間学級の門戸をたたく事例が増えているとされている。

大阪市では、天満(北区)、東生野(生野区)、天王寺(天王寺区)、文の里(阿倍野区)の4中学校に夜間学級が設置されている。2校が統廃合した場合、3ヶ所に減ることにもなる。
不登校特例校とは
不登校特例校は、文部科学大臣の指定を受け、生徒の実情に合った柔軟なカリキュラム設定ができるとしている。
大阪市では不登校の児童生徒の割合が全国平均を大きく上回るなどしていることから、さらに対応を強化する一環だと報じられている。
生徒への不利益が出ないような対応を
一人一人の生徒に合ったきめ細やかな対応をしていく、学びの場を保障していくという観点からは、夜間学級も不登校特例校も、それぞれ重要な取り組みになってくる。双方ともより充実させるような対応が求められる。
その一方で夜間学級廃合の場合は、天王寺・文の里の両校で学んでいる在校生が新校に移る可能性があり、そのことも課題になってくる。家庭や生活の事情を抱えながら夜間学級に通学する生徒にとって、通学先が変わるのは、地理的な距離は比較的近いとはいえども大きな負担と不安にもつながりかねない。生徒からは「通えない人も出てくるのではないか」という不安の声も出ているという。在校生の不利益にならないような対応を望みたい。
(参考)
◎大阪市教委、24年に「不登校特例校」開校を検討 夜間中学も併設(朝日新聞 2021/11/9)
◎大阪市の夜間中学2校に統廃合案 不登校特例校新設も(産経新聞 2021/11/9)