大津いじめ自殺から10年

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滋賀県大津市立中学校に通っていた男子生徒がいじめを苦にして自殺した事件から、10月11日で10年となる。この事件は「いじめ防止対策推進法」が制定されるなどのきっかけとなった。

事件は、加害生徒のいじめ行為を認定して損害賠償を認める判決が2021年1月に最高裁で確定した。また大津市とは和解が成立している。

10年の節目を前後して、新聞などでは特集記事が複数報じられている。大津市役所では2021年10月11日、市長・教育長や教育委員会職員が黙祷をおこなったという。

大津いじめ自殺事件の経過

この事件は、当時大津市立中学校2年だった男子生徒が、同級生3人からいじめを苦にして2011年10月11日に自殺したものである。2012年7月になり、いじめの内容の悪質さや、教育委員会が隠蔽を図っていたことなどが大きく報じられて社会問題化した。

被害者側が起こした訴訟では、加害者とされた同級生3人のうち2人の賠償責任を認める判決が出された。一審大津地裁ではほぼ全面的に加害者の責任を認める画期的な判決となったものの、二審大阪地裁では、いじめは引き続き認定したものの、家庭側の問題などを理由にして過失相殺を認めて損害賠償額を大幅減額した。その後2021年1月、最高裁では二審判決を支持して原告側上告を棄却し、判決が確定した。

事件をきっかけに、2013年にいじめ防止対策推進法が成立した。学校でのいじめについて、事案の調査や報告を義務づけるなど、いじめ対応を強化することを図るものとなっている。

一方でこの10年間にも、いじめによって児童・生徒が自殺に追い込まれる事件や、重大な心身の症状を発症する事件などが全国で多数起きている。マスコミなどで報道される案件はそのうちのごく一部に過ぎないとみられるが、マスコミ報道された案件の中でも、学校側の初動での対応が十分ではないのではないか、隠蔽や被害者攻撃と受け取れるのではないかと思われるものもしばしばみられる。被害者やその関係者にとっては、目の前のいじめこそが自身や周囲を脅かす問題でもあるので、一つ一つのいじめ問題についてていねいに向き合えるような体制を構築していくことが必要になる。

ほかにもいじめ自殺事件が発止した節目の日

10月11日という日は、大津市のいじめ自殺事件(2011年)のほかにもいじめ自殺事件が発生した節目の日でもある。

15年前の2006年10月11日に、福岡県筑前町立三輪中学校2年だった男子生徒がいじめを苦にして自殺した事件も起きている。この事件では、同級生からのいじめの悪質さに加えて、学年主任で被害生徒の1年時の学級担任でもあった教師がいじめを煽るような言動をしていたことも問題となった。また学校ぐるみでいじめを隠蔽しようと図ったことなども指摘された。この事件などをきっかけに、当時いじめが大きな社会問題ともなった。

さらにその1年前の2005年10月11日には、埼玉県北本市立中学校の女子生徒がいじめを苦にして自殺する事件が発生している。被害生徒は小学校の頃からいじめを受けていて、中学校進学後もいじめが続いたと指摘された。いじめ訴訟では、国の教育施策の責任も問う初めての訴訟ともなったが、国への請求は棄却されている。

いじめを許さない、万が一発生しても早期に対応するということを徹底していく必要がある。

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