高校新科目「現代の国語」:範囲外の「小説」掲載教科書が検定合格、多くの学校で採用

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高校では2022年度入学者より新学習指導要領が実施され、履修する教科・科目の内容の構成が変わることになる。

国語科では科目構成が大幅に見直され、論理的・実用的な文章を主に扱う「現代の国語」2単位と、文学的な文章(近現代の文学および古典)を扱う「言語文化」2単位の計4単位が必修となる。

文部科学省は「現代の国語」科目について「近現代文学は扱わない」とした。しかし第一学習社は、芥川龍之介「羅生門」、夏目漱石「夢十夜」などの小説5点を「現代の国語」科目の教科書に掲載し、文部科学省はその教科書を検定合格させたとして、他社教科書関係者から疑問が呈されている。

新学習指導要領での国語科の「改革」

新学習指導要領による高校国語科の「改革」は、従来以上に大きな変化となっている。

従来は主に1年時に「国語総合」(さらにその前の課程だと「国語Ⅰ」)4単位を必履修とし、現代文(小説・評論)と古典の学習時間はほぼ半分ずつが目安となっていた。しかし2022年度入学者からは、実用文と文学的文章という区分けで、科目は「現代の国語」「言語文化」の2科目に再編され、この2科目が主に1年時の必履修科目となった。

一方でこの変更は必ずしも歓迎されているわけではなく、現場の国語教育や文学などの研究者からは疑問が出ている。

「実用的な文章」と「文学(=実用的・論理的ではないかのように扱う)」という区分けは正しくない、それらに明確な境界が引けるわけではないという指摘がされている。

新学習指導要領対応の大学入学共通テストの試作問題の内容は、国語教育関係者に衝撃を与えた。

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2022年度使用の教科書採択

第一学習社の教科書では、2022年度より使用する「現代の国語」科目に小説5本を掲載した。その教科書は学校現場で多く採択された様子。

東京都立高校では220校のうち約4分の1の53校で採択された。また大阪府立高校でも生徒数比で約28.1%となり、一番多く採択された教科書となった。

結果的に、小説を入れたことで現場のニーズに合ったとみなされた教科書の採択が多くなった。しかしそのことで、文部科学省の方針によって「小説は入れない」とする編集をおこなった他社にとっては納得できないとなったと思われる経過。

そもそも、学習指導要領による科目分けのやり方に無理があったという気がしてならない。そもそも無理があるのだから、科目構成がなし崩しになりかねないということにもなる。文部科学省自らが科目構成すらなし崩しにするような教科書検定では、教科書会社の側にとってはたまったものではないという心情は理解できる。

(参考)
◎教科書に小説、掲載の波紋 文学的文章除くはずが…1点は検定合格 高校新必履修科目「現代の国語」(朝日新聞 2021/9/12)
◎ 「小説入る余地ない」はずが…高校「現代の国語」教科書巡り混乱(毎日新聞 2021/9/24)

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