大阪市立の高校「大阪府への無償譲渡は不当」として住民監査請求

大阪市立の高等学校23校を2022年度に大阪府に移管する計画をめぐり、敷地など学校にかかる財産の一切を大阪府に無償譲渡するのは地方財政法に違反している・不当だとして、市民らが2021年7月30日、大阪市に対して譲渡の停止を求める住民監査請求をおこなった。

2010年代前半、維新市政が大阪市の廃止・解体を狙ったいわゆる「大阪都構想」の一環として、「同種の施設を大阪府と大阪市がそれぞれ所持しているのは二重行政」だと難癖を付け、大阪市立の高校についても大阪府立高校への移管・運営一元化方針を掲げた。

移管策動はしばらくは具体化しなかったものの、2019年になり再び再燃して具体化する形になった。2020年には維新と公明党の賛成で府立移管関連議案が可決された。

移管については、市民の財産を侵害するものだとして強い批判が起きている。

市の財産という観点からも、学校にかかる敷地や設備など一切、23校合計で約1425億円相当を大阪府へ無償譲渡することを打ち出したことで、大阪市が築き上げてきた財産を損失させることにもつながる。

仮に現大阪市立の高校が府立移管後に統廃合され跡地を使用しなくなった場合、大阪府が財産を処分することになる。大阪市としては跡地利用の方法を決める権限はなく、また財政的にも損をすることにもなる。実際、大阪市教育委員会の方針として大阪市立の3つの工業高校の名前を挙げての統廃合方針(3校を1校に統合して新工業高校を設置方針)を2020年に打ち出し、具体化は大阪府移管後におこなうとされていることから、学校敷地などについても大阪市が一方的に損失を受けるということにもなる。

財政的な面と同時に、地域の歴史・文化としての無形の財産という側面も見逃せない。大阪市内の中等教育については1901年以降は大阪府と分担しながら、大阪府は普通教育中心として旧制中学校や高等女学校を主に設置し、大阪市は実業教育中心におこない商業学校や工業学校を主に設置してきた歴史的な背景があり、現在の大阪市立の工業系高校や商業系高校の母体となっている。1920年代以降になると普通教育学校(旧制中学校・高等女学校)の入学志願者増加による入学難なども反映して大阪市立の高等女学校や旧制中学校も作られるようになり、その後身が大阪市立の普通科系高校となった。それらの大阪市立の学校では、地域からの寄付などによって校地が作られた場合も多くみられる。また戦後の新制高校では、大阪市立の高校では特色ある学科を設置するなど個性的な教育をおこなう方向で、平均的な普通科教育中心の府立高校との色分け・特色化を図ってきた歴史もある。

大阪市が高校を持っていることは決して「二重行政」でもなければ、これまで全く弊害がなかったものである。

これらの有形無形の財産を大阪府に無償で渡してあとは知らないというのは、大阪市の財産や歴史に対する冒涜ではないかといえる。

また移管については「大阪府に移管した方が高校教育の発展につながると判断した」という学校関係者や市民からの要望があったものではない。維新という特定の政治勢力による特定の主義主張のもとで、上から押しつけたものである。

移管そのものを差し止める必要がある。そのための方策のひとつとして、財政面からの損失という観点も非常に重要になる。

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