東京都教委、オリンピックでの「学校連携観戦」中止を発表

東京都教育委員会は2021年7月9日、東京オリンピックでの「学校連携観戦」を中止することを発表した。

「学校連携観戦」とは

「学校連携観戦」は、教育の一環として、会場のある地域の学校に対してオリンピック大会組織委員会が児童・生徒の観戦枠を割り当てて希望校にチケットを配分し、学校行事の一環などとして学校単位で競技を観戦するとしていたものである。

東京都教育委員会は「学校連携観戦」を推進していた。

しかし、新型コロナウイルス問題の影響で遠足など含めて通常の学校教育活動が制約されている元で五輪観戦だけ通常通りというのは矛盾するし、感染防止策としても好ましくないという指摘・批判が出た。また、引率時に公共交通機関を指定されていることで「密」につながりかねないことも指摘された。真夏の炎天下のもとで開催されることもあり、観戦時の熱中症事故の危険性についても指摘された。さらに、場合によっては夕方~夜間開催競技の観戦枠を割り当てられた場合もあることから、出発・解散場所から自宅までの行き帰りでの事故等を不安視する声も指摘された。

これらのことから、「引率の際の事故につながる危険性がある」などとして、保護者や教職員をはじめとした市民から学校連携観戦の中止を求める声が広がっていた。2021年7月4日投開票の東京都議選では、「学校連携観戦の中止を求める」と掲げる候補も出るなどしていた。

東京都内の自治体では保護者らからの意見を受け、都内62区市町村のうち少なくとも35区市町村で自治体単位での「学校連携観戦」の中止を決めている。

都教委の判断

東京都教育委員会としては、大会組織委員会が「無観客開催」の方針を検討しているとしたことを受けて、「学校連携観戦」を断念した形になった。

その一方で、オリンピックに引き続いて実施されるパラリンピックでも「学校連携観戦」が設定されているが、パラリンピックについては「組織委員会での今後の動向を見た上で判断する」として態度決定を先送りにしている。その一方で、パラリンピックでの学校連携観戦は、可能ならばやりたいという意向を崩していないともしている。

中止は適切だと考える

オリンピックの理念・意義そのものは否定するものではない。

しかしながら、新型コロナウイルス問題の広がりによって通常活動にも影響が出ているもとでわざわざ「密」を作り出しに行くようなことや、真夏の時期に観戦させることでの熱中症事故の不安など、重大なリスクを取りに行ってまで観戦させるなどを、何よりも優先させなければならないものかと問われれば、それは違うとはっきりと言える。

「学校連携観戦」をそのまま強行していれば、児童・生徒への虐待に近い状況にもなり、また引率する教職員の心労を不要に増大させ、保護者を不安にさせるものになってしまうと言わざるをえない。

中止は当然の判断ではあり、歓迎する。しかしながらその一方で、大会組織委員会の「無観客方針」の影響を受けてやむなく断念したととれるような「子ども不在」「現場不在」の判断は少し引っかかる。

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