共通テスト「民間試験」「記述式」は導入困難とする有識者会議提言、正式断念へ

大学入学共通テストにおける「英語民間試験」「国語・数学での記述式試験」導入について、文部科学省の有識者会議は2021年6月30日、「実際は困難」とする提言をまとめ公表した。

この見解を受け、文部科学省は近く、断念方針を正式に発表することになる。

経過

従来の大学入試センター試験に代えて2021年度入試より導入された大学入学共通テストでは、入試改革の「二枚看板」として、「英語民間試験」「国語・数学での記述式試験」の導入が打ち出されていた。

「英語民間試験」では、受験生は英検などの民間の英語試験を受験し、試験の点数として反映するということを想定していた。しかし受験料が高額になることや、家庭の経済力や居住地によって試験機会や受験回数に差が出かねないことなど、試験の公平性への問題が指摘された。

また「記述式試験」では、50万人以上の答案に対して1万人近くの採点者が必要になると見込まれ、採点者の質の確保や、採点者同士での採点基準のすりあわせなどが不可能に近いレベルで困難で、公平な採点ができないのではないかという問題が指摘された。

これらのことから、受験生や高校関係者、予備校関係者、大学関係者が疑問の声をあげ、中止を求める世論が起きた。文部科学省は2019年、「当面の導入を凍結し、新学習指導要領で学んだ生徒(2022年度以降高校入学)が受験生になる2025年以降の導入に向けて課題を精査する」という方針をだした。2021年度に初実施した共通テストは「民間試験なし」「記述式なし」で実施された。

文部科学省が有識者会議を設置し、引き続き課題を検討した結果、実施困難という方向でまとまった。

中止は当然の流れ

大学入学共通テストで「英語民間試験」「記述式」を改革の目玉にしたという発想自体、現実に合っていない無謀な発想だったというように感じる。

受験生の学力を測るということにおいて、家庭の経済力や受験生の居住地などのほかの要素・しかも本人にはどうしようもない属性によって、受験の機会が左右されたり、有利・不利が出てしまいかねないということは、避けなければいけないことである。現行制度でも「受験料や大学学費の高騰」「離島・僻地などでは試験会場を設置しにくい」など経済力や居住地域によっては不利な側面もあるということは否定できないとはいえども、民間試験導入では格差を決定的に拡大することになってしまう。

また記述式についても、このような大規模試験では採点基準に疑問が出るということになる。採点基準がばらつけば、その分受験生の点数にも反映されて出願や試験などの影響が出かねず、公正性を欠くということにもなる。共通テスト規模での記述式導入は、無理難題というほかなかったものだといえる。

正式に中止の見通しになったのは、当然の方向性だとはいえども、喜ばしいことである。一報で、なぜこのようなめちゃくちゃなものが検討され強行されそうになったのかという点についても、詳細な検証を要するであろう。

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