大阪市立の高校の府立移管、住民監査請求の動き:大阪市

Yahooニュース2021年6月18日付に『大阪市立の高校の大阪府への移管は「市民の財産を棄損」と住民監査請求へ』が掲載されている。

大阪市立の高校の大阪府への移管は「市民の財産を棄損」と住民監査請求へ(幸田泉) - 個人 - Yahoo!ニュース
大阪市立の高校22校が来年4月に大阪府に移管され大阪府立高校になるが、土地、建物の「無償譲渡」について住民監査請求が行われる見通し。22校の財産的価値は大阪市の台帳価格で約1500億円にのぼる。

大阪市の廃止を策動し市の財産を奪ういわゆる「大阪都構想」に絡めて、「府と市が同種の施設を持つのは二重行政」「府市一元化」の一方的な言い分により、大阪市立の高等学校22校(大阪市がかねてから既存校の統廃合で設置を準備し、2022年度に開校を予定している1校を含む)は2022年4月1日付をもって大阪府に移管されることになる。

このことについて、大阪市の財産を毀損する行為だとして、住民監査請求の準備が進んでいることについて紹介している。監査請求をおこなう市民らは、2021年7月にも、「府立移管の差し止め」を監査請求するという。

「財産の毀損」になる

大阪市立の高校は、教育活動としても、平均的な普通科教育を中心とした大阪府立高校とは異なった形での特色化・個性化を図ってきた経緯がある。職業系学科での実業教育や、普通科系高校でも特色ある学科・コースを設置するなどしてきた。

教育活動やそれに伴う地域の産業・文化などへの貢献などという無形の財産だけでなく、学校敷地や校舎・建物という財産の扱いも重要になっている。

大阪市立の高校の府立移管では、学校敷地にかかる土地や校舎等の建造物を府に無償譲渡する措置がとられることになっている。このことで、大阪市の市民の財産が不当に侵害されることになっていると指摘されている。土地や校舎の価格は、台帳ベースでは合計約1500億円とされ、市価ベースだともっと高額になるとみられる。

大阪市教育委員会は、大阪市高等学校教育審議会の2020年8月の第13次答申「Society 5.0で実現する社会に求められる大阪の産業人材育成を担う新たな工業系高等学校の在り方について」で工業系高等学校の再編方針を打ち出し、その中で泉尾工業高校・東淀工業高校・生野工業高校の3校の名前を挙げて統合再編構想を打ち出している。実際の統廃合具体化は府立移管後になるとされ、大阪府教育委員会もその方針を継承するとしている。仮に工業高校を統廃合して、使用しなくなった学校敷地を売却した場合、売却益は大阪府の財産となるということになる。

さらに維新府政のもとで作られた「3年連続定員割れの高校は統廃合検討」条例により、大阪市立から府立に移管された高校も、府立移管後に統廃合対象として名前が挙がる可能性もある。そのことで、現在の市立高校についても、使わなくなった敷地を大阪府が処分することも考えられる。

大阪市立のままなら、(学校統廃合自体が問題であるという別の課題はあるがそれはひとまず置いても)統廃合で使わなくなった敷地を大阪市の財産として、何らかの市立施設に転用したり、売却した場合でも売却益は市の財産になるなど、市民に何らかの形で還元できることはありうる。しかし府立移管だと、そういうことができなくなって市・市民の立場だと丸損になってしまうという論理。

記事では以下のように紹介されている。

 住民監査請求を行おうとする市民らは、「自治体が誘致した企業や学校に土地を寄付するケースはあるが、それは人口増や税収増などのリターンが見込めるから。市立の高校の土地、建物を府に無償譲渡して、大阪市にどんな利益があるのか全く示されていない」とし、「維新の首長らによる市有財産の私物化のようなもので、大阪市の財産を大阪府に移し替え、あたかも二重行政を解消したかのように見せる政治パフォーマンスだ」と問題視している。

全くその通りではないか。

「府立移管」には道理はない

大阪市立の高校全校を大阪府に移管する方針は、大阪市会および大阪府議会の条例が成立した状況となってしまっている。しかしながら、移管に際して問題点を十分に検討した形跡はない。

大阪維新の会およびその勢力から出された首長が、「大阪市を壊す。少なくとも市の自治体としての力と財産を骨抜きにする」という自らの政治的主張目的で、大阪市の有形無形の財産を蹂躙しているという形になっている。

このことは、市および市民にとっては重大な損失ということになる。

土地など有形の財産についても、高校の移管で損害が出るということになっている。この角度からも、移管の差し止めを監査請求することや住民訴訟など、可能なことをしていく必要がある。

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