文部科学省は2021年6月、児童・生徒に対して下着や頭髪の色などを細かく規定するなどの人権侵害にもあたるとも思われる不合理な校則、いわゆる「ブラック校則」について、社会や時代の変化に合わせて変えていくよう求める通知を出した。
学校の指導方針や校則などは最終的には学校の判断であることを踏まえて統一的な基準などは求めないとしたものの、不合理な校則を改定させた事例を紹介したり、児童・生徒の意見を反映させることが主体性の育成になるという指摘をおこなった。
いわゆる「ブラック校則」については。2017年に大阪府立高校で「生まれつきの色の髪の毛を無理やり黒染めさせられたなどした上に不登校に追い込まれた」などとする訴訟が報じられたことをきっかけに、大きな社会問題となっている。一説によると、1980年代~90年代前半前後までの「管理教育」の時代よりも生徒への統制や干渉が厳しくなっているのではないかとも指摘された。
髪の毛の色を黒と指定し、生まれつきの地毛の色が黒ではない生徒には「地毛証明書」を提出させるなどする。髪型も指定し「ツーブロック禁止」などと指示する。定期的に頭髪検査をおこなう。下着の色を指定し、下着検査などもおこなう。「違反」と判定された場合には黒く染めさせる・髪の毛を切らせる・下着を脱がせる・帰宅させるなどの対応を取る、など。もはや人権侵害というべき状況が報告されている。また、外泊を届け出制にすることや、18歳選挙権導入とそれに伴う主権者教育との関連で指摘された「校外での政治的・社会的な活動に参加する場合は届け出制にする」など、児童・生徒の校外での生活に関する規定も一部ではあるとも指摘されている。
これらのことは、児童・生徒の人権にもかかわってくる。また教職員にとっても、良心に反するような服装指導を強要されることになって具合が悪い。学校側の自主的な対応により、必要な場合は改善をおこなっていくことが重要になる。