東洋経済Online2021年5月7日付で、記事『実録!公立中学の不透明な「内申」と高校受験』を配信している。

高校入試でのいわゆる内申点、調査書での評定への不信感・不満についての記事となっている。
公立高校入試では、都道府県によって具体的な算出方法などは異なるものの、当日の筆記試験の成績のほか、評定の数値(内申点)を一定の計算式で換算して加算し、筆記試験と評定(内申点)の合計で合否判定をする。合否判定に占める評定(内申点)の割合は、3割~4割以上となることも多い。
記事では東京都の公立中学校での事例をあげている。内申点が教師との相性で左右されるなどしているのではないかという不信感が紹介されている。ペーパーテストでは満点近い高得点でも担当教師との相性が悪く評価が5段階の「3」になっていた。実技教科では、ピアノや体操教室などの習い事に行っている生徒ほど有利になる。教師のイエスマンにならないと内申点が下げられるから、教師から体型をいじられるなどセクハラまがい・いじめまがいの行為を受けても抗議できなかった。など。
逆に、部活動や生徒会役員などに取り組んで内申点を上げるようにして、難しい高校を受験できるようになって合格したものの、入学した高校では周囲の生徒の方が学力が高く授業についていけなくなりつつあるという話も紹介されている。
これらのことに不満を持った保護者は、公立中学校を避けて子どもに中学受験をさせるという指摘もされている。
調査書での評定、いわゆる内申点については、何十年も前からこのような不信感や不満が聞かれている。大半の教師は私情を持ち込まないように慎重に対応しながら評定をおこなっているともされる。その一方で、成績評定の際に「関心・意欲・態度」を重視するという視点も導入されたこともあり、いわゆる内申点への不満や疑念は消えていないということにもなる。
これらのことは、個別の教員や学校に非があるというわけではなく、システム的な課題として、不信感や不満を持たれるような構造が作り出されかねないということにもなっている。このような成績評価の仕組みが妥当なのか、今一度再検討する必要があるとは思われる。