大阪府立高校「エンパワメントスクール」再編検討対象になる可能性浮上

大阪府では、大阪維新の会が主導して作成した大阪府条例により、3年連続定員割れの府立高校は統廃合などを含めた再編検討対象になるという方針が明記されている。

2021年度の高校入試で、小中学校段階で学習がつまづいた生徒の学び直しに重点を置いた大阪府立高校「エンパワメントスクール」8校のうち3校で、再編検討対象となる要件を満たしたと指摘されている。

産経新聞2021年3月22日午前11時30分配信(ウェブ版)『大阪府の小中学校学び直しの高校、統廃合の危機』が報じている。

「エンパワメントスクール」とは

2021年3月22日正午に出願が締め切られた大阪府公立高校二次募集の最終出願状況によって、「エンパワメントスクール」の大阪府立岬高校(岬町)で4年連続定員割れに、大阪府立西成高校(大阪市西成区)および大阪府立箕面東高校(箕面市)で3年連続定員割れになることが確定した。

大阪府立高校の「エンパワメントスクール」では、英語・数学・国語・理科・地歴公民について1年次は学校設定科目などで小中学校の学習内容の復習・定着も含めた基礎的内容の授業を実施し、学び直しに重点を置いた教育内容をおこなっている。少人数クラス編成・習熟度別授業や、1年の英語・数学・国語では授業時間を30分とする「モジュール授業」、グループ討論形式の授業・問題解決型学習などで、きめ細やかな取り組みをおこなっているという。

産経新聞の記事では、西成高校の教育実践について紹介した上で、在校生アンケートからは「学び直し」によって「この学校に入ってよかった」と好評だったということが紹介されている。

一方で大阪府条例に沿うと、これらの高校も統廃合対象になりうるということになる。

教育現場からは「福祉的側面を持つ学校では、定員割れでの一律の統廃合はなじまない」という指摘もされている。

大阪府の高校政策によって高校が「人気校」「不人気校」に二極化

大阪府では、大阪維新の会が府政与党になってから、競争原理主義的な教育を持ち込み、また政治が積極的に教育介入し、公立高校をめぐる状況を困難にさせてきた。

一部の「進学校」といわれる学校での「難関大学といわれる特定大学への合格実績」をてこ入れすることに偏重する施策や、高校入試での学区制の撤廃、調査書の評定(いわゆる内申点)に反映される「チャレンジテスト」実施などを背景として、高校入試の長期化や難化を生み出してきた。そして「3年連続定員割れの学校は統廃合検討」条例によって学校間の生徒獲得競争が激化していることも、混乱に拍車をかけている。

さらに大阪府独自の「私学無償化」により、奨学の機会確保と家計負担軽減という原則そのものは否定するものではないが、大阪府の場合は制度設計に問題があって「公立高校つぶしと私学への誘導」のような効果になってしまっていることも重なっている。

2021年の大阪府公立高校入試の志願状況は、「人気校」と「不人気校」の格差が拡大し、極端となっている。受験倍率が1.5倍前後になり多数の不合格者を出す高校がいくつも生まれた一方で、100人以上の定員割れになるなど大幅に定員割れする学校も多く出た。このようなことは、十数年以上前の「維新以前の時代」には考えられなかったことである。

機械的統廃合はより深刻な事態を引き起こすおそれ

「エンパワメントスクール」については、基礎からの学び直しなどは公立校としても重要な役割となっている。学びを保障するために少人数授業や問題解決型学習などを導入する取り組みは、当該校での教育実践という意味にとどまらず、普遍的な意味での学習の取り組みとしては重要な視点となっている。

その一方で、維新的な発想からは最も遠いタイプの教育実践ともなっている。今後統廃合対象になった場合、生徒の学習機会が奪われることにもつながりかねないのは、通常の高校統廃合以上にとりわけ深刻な状況を招くことになる。

さらに大阪府議会では、大阪維新の会の府議がさらに高校統廃合を進めるべきという見解を出したと聞く。

これらのことは、公教育を崩壊させ、今まで以上の困難を招くことになる。

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