大阪市小学校統廃合条例案可決、生野区で2組・計7校を統廃合へ

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大阪市生野区の小学校統廃合問題で、大阪市会は2021年2月25日、小中一貫校の小学校1校と義務教育学校1校をそれぞれ新設し、関連小中学校計7校を廃止する「大阪市立学校設置条例の一部を改正する条例案」を可決・成立させた。

維新と公明党が賛成し、自民党・共産党と無所属会派「市民の生活が第一」が反対した。

この議案では、以下のような計画となっている。いずれも2022年4月開校としている。

  • 田島小学校と生野南小学校を統合し、現田島中学校敷地に併設する形で「大阪市立田島南小学校」を新設する。田島南小学校・田島中学校を総称して「田島南小中一貫校」として教育活動をおこなう予定となる。
  • 林寺小学校、生野小学校、舎利寺小学校、西生野小学校の4小学校と生野中学校の計5校を統合し、現在の西生野小学校および生野中学校(※2小中学校は隣接)の校地を使用して「大阪市立義務教育学校生野未来学園」を新設する。大阪市では義務教育学校の設置は初めてとなる。

生野区では統廃合反対の声

しかし生野区の学校統廃合をめぐっては、地域住民から強い反対や疑問の声が出ていた。橋下徹が市長だった時代に「大阪市立小学校を3分の2程度にまで減らす」と最初に言い出し、それを具体化するような形で大阪市教育委員会と生野区役所が統廃合ありきで強引な統廃合計画案を出したことで、住民の不信感や反発が強まって問題になっていた。

区の西半分にあたる広大な地域の12小学校・5中学校を4小学校・4中学校(一部は義務教育学校へ移行)に再編し、対応する小学校と中学校では「一小一中」体制で小中連携教育をおこなうことで、子どもの足で学校まで40分以上かかる地域が出るなど通学上の不便・負担や通学路の安全問題が指摘された。

市議によると、「統廃合予定の小学校校区から統合校設置予定地まで実際に歩いてみたが、大人の足でも30分以上かかった。小学校低学年の児童ならもっとかかることは想像に難くない。しかも通学路では白線が消えたままの横断歩道や、信号機やガードレールの設置が必要だと思われる場所も多くあり、対策もされていない」とする内容を指摘し、議会質問をおこなっている。

さらに学校がなくなることで、学校敷地が売却されるなどして災害の際の避難場所がなくなるおそれがあるのではないか、とりわけ住宅密集地で災害の際の避難場所の不安が指摘されている生野区西部では重大な問題につながると指摘された。

大阪市教育委員会は「関連校で児童数が減少していることでの学校規模の適正化」といっているが、それは行政の都合で「適正な学校規模」を設定したものであり、子どもの状況からは必ずしもいいものとは限らないのではないか、子どもの状況に応じて判断されるべき、少人数だからといって必ずしもデメリットばかりではなくメリットも大きいという指摘もされた。

2020年に問題化した「コロナ禍」・新型コロナウイルス問題では、感染拡大防止のために「3密」回避・ソーシャルディスタンスの重要性が指摘された。これに関連して、小規模校では元々人数が少ないので分散登校などの必要性はなかったという指摘がされた。また分散登校になった学校でも、分散登校期間中は児童の状況が落ち着き、教員の側も一人一人に目が届きやすくなったという指摘がされた。小規模校は、コロナ禍のもとでも「密」を避けられるという指摘もされた。

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新型コロナウイルス問題で一斉休校中の2020年春には、休校中のどさくさ紛れのような形で、統合計画校の新校舎設置準備工事に着手した事案もあった。このことも住民からの反発を招いた。

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また、大阪市教育委員会が住民の声を「(鉄道空白地域でもある当該地域への)地下鉄延伸がない限り学校統廃合は認めない」などと当該住民が発言していない内容を発言したかのようにねじ曲げて資料として紹介したことで、当該住民が「そんな発言はしていない」と抗議する状況もあった。

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さらに維新市政のもとで「学校統廃合は行政主導でおこなえる」とする条例改悪もおこなわれた。

これらのことが重なり、住民からの反発が強まっていた経緯がある。生野区の小学校統廃合問題については、反対ないしは慎重な対応を求める陳情書が市会に何度も提出されていた。

当該地域の地域環境・教育環境としても重大な問題である。また同時に、維新市政によってこのような強引なやり方がまかり通るのは当該地域だけの問題ではなく、大阪市全域で似たような問題が起きかねないことにもなる。

統廃合強行は問題

通学環境や学習環境などで重大な問題が指摘されているにもかかわらず、また地域住民からの合意も十分に得られていない状態にもかかわらず、統廃合を強行したことは、極めて重大な問題ではないか。子どもの学校生活としても、地域の街づくりとしても、禍根を残すことにもつながりかねない。

大規模化することできめ細やかな教育にも支障が出ることにもつながる。このような判断が適切だったのか、検証を要する。