大阪府教育委員会は2021年1月13日、府内の公立中学校1・2年の全生徒を対象に、統一学力テスト「チャレンジテスト」を一斉に実施した。
1年は国語・数学・英語の3教科で、また2年は前述3教科に理科・社会科も加えた5教科の試験が実施された。なお3年については例年は6月に実施されるが、2020年度は中止になっている。
「チャレンジテスト」の学校平均点により、教師が調査書につける評定(いわゆる内申点)の範囲が左右され、その結果個別の生徒の評定にも影響が出ることになる。
しかも個人の成績だけでなく、学校の成績によっても左右されることになる。1年時からの成績や学校平均点が、高校受験まで引きずられるような仕組みともなっている。
大阪府教育委員会は、「調査書の評定方法が従来の相対評価から、絶対評価(到達度評価)に移行したことに伴い、学校間・担当教師間での評定の偏りをなくす」という名目にしている。しかしこれは、事実上「大阪府全体での相対評価」ということにもなってしまっている。
これでは生徒をテストでしばり、競争に駆り立てることにもなる。また高校受験が学校平均点によっても左右されることで、生徒間の対立なども生みかねないものとなる。通学している学校・居住している地域によっても格差が生まれることにもなる。生徒に過大な負担をかけ、また教職員や保護者も不安・混乱に陥れるものとなっている。
今回のテストでは、新型コロナウイルスで休校が続いた影響で出題範囲を本来の予定より縮小したという。しかし新型コロナウイルスの感染者数は、2020年3~5月の一斉休校の時期よりも直近のほうが状況がひどくなっているという背景もある。チャレンジテストの仕組み自体がおかしいが、コロナ対策の観点からも、この時期にする必要があるのか疑問である。
このようなテストが、生徒のためになるとは思えない。