政府は、2021年度から小学校での「35人学級」を段階的に実現する方針を決めた。
2020年12月17日、萩生田光一文部科学大臣と麻生太郎財務大臣との閣僚折衝で合意がまとまった。義務教育標準法改正案を2021年1月の通常国会に提出し、2021年度から5年間かけて小学校全学年で実施する予定としている。
現行では小学校1年のみが35人学級となっているが、2021年度には2年にも拡大し、学年進行で低学年より拡大していくことになる。
学級定数の引き下げについては、クラスの人数を減らすと、教師が一人一人の学習状況や生活状況を把握しやすくなり、きめ細やかな指導ができることが指摘されてきた。しかしその一方で財務省は、「エビデンスがない」などとして少人数学級の予算化を渋ってきた経緯がある。
2020年になり新型コロナウイルス問題が勃発したことで、これまでの学習状況や生活状況という視点だけでなく、感染防止策としての角度からも少人数学級問題がクローズアップされた。

現行の教室の標準的な面積では、40人学級だと「ソーシャルディスタンス」が取れないという指摘がされた。また臨時休校を経て、1クラスを半分に割るなどの分散登校で学校が再開された際、分散登校期間中は児童・生徒の学習状況がよりきめ細やかに把握できるようになったり、児童・生徒が落ち着く傾向があったという指摘もされた。
このことで、少人数学級を求める気運が、今までよりもまして高まっていた。2021年度より小学校で35人学級実現の見通しとなったことは、全体としては一歩前進であり、歓迎されることである。
またその一方で、30人学級ないしはそれ以下にはできなかったこと、今回の措置は小学校のみに適用されて中学校では従来基準のままであることなど、今後も引き続いて取り組みを進めていく課題もある。今回できなかった部分についても、できるだけ早期に実現できるような体制を作っていくことが求められている。