松井一郎大阪市長は2020年12月17日の定例記者会見で、「市立支援学校が府立に移管されたことで教育条件が低下した」という指摘を否定した。

大阪市では、大阪市の廃止・解体策動、維新がいうところのいわゆる「大阪都構想」により、大阪市が大阪府と類似の施設を持っていることは「二重行政」とやり玉に挙げられる状態が続いている。市としての大阪市を廃止する策動は2度の住民投票で否決されたものの、学校などについてはその動き関係なしに、強引に「府市統合」が打ち出される状況が続いている。
2020年には市立高校の府立移管の方針が打ち出された。
記者会見ではマスコミ記者からの質問があった。「市立高校の府立移管に不安の声が上がっている。それに関連して、先に府立に移管した市立支援学校では、府立移管後に教育条件が低下したという指摘がある」。
松井市長はその指摘を否定し、「大阪府が運営することでどこの学校でどういうふうに低下したの?」「僕は知事だったんだから。低下してるのかって。そういう声はないと、聞いてない」「知事時代もだいぶ支援学校を増やしました」などと発言した。
しかし実際は、大阪市立だった特別支援学校が府立移管後、市立時代には独自に加配していた職員を大阪府基準に減らしたことが指摘されている。さらに給食を民間委託に変えたこと、学校経費で購入していた教材が家庭の自費負担に変更されたことなどが指摘された。
ということは、元々府立学校だったところは影響がないが、元市立学校では教育条件が大きく低下していることになる。
現場関係者からも、府立移管後に条件が低下したという証言が相次いで寄せられている。


実際に起きている弊害を「ない」ことにしようとするのは、容認できることではない。また特別支援学校のみならず高校についても、府移管で同じようなことが起きうることが想定される。
特別支援学校の移管は失敗だったし、市立高校の移管構想についても問題が想定される。その点についてしっかりと見なければいけない。