福島県会津坂下町が開示拒否した「いじめアンケート」、開示命じる:福島地裁

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福島県会津坂下町立中学校で2014年、当時1年だった男子生徒(2019年に自殺)がいじめを受けて不登校になった事案に関連して、生徒の遺族が町を相手取り「いじめに関するアンケート」の開示を求めた訴訟で、福島地裁は2020年12月1日、「個人を特定できる固有名詞などを除く部分は開示すべき」として、町に対して部分開示と11万円の支払いを命じる判決を出した。

いじめ事件の経過

いじめ事案は2014年5月に発生した。この生徒の筆箱がなくなり、トイレ清掃用具入れの中から見つかった。

その際に学校側は、この生徒の筆箱を隠した生徒は名乗り出るよう求めた。しかし誰も名乗り出なかったとして、担任や学年主任などの協議の上で、連帯責任としてクラスの生徒全員に対し、昼休みはトイレ以外は教室から出ずに自習するよう求める「禁足」措置をおこなった。

しかしこのことで、「禁足」措置に対する同級生の不満がこの生徒に向けられるような形で、生徒に対する暴力や暴言などのいじめにつながった。生徒はその後不登校になった。

第三者委員会の調査では2017年7月、「いじめがあった可能性が高く、不登校の原因の一部になった可能性がある」としながら明確に断定しない見解を出した。再調査では2019年3月、筆箱を隠されたことおよびその後の同級生の対応をいじめと言及したものの、「禁足」それ自体を「いじめ」ないしは「いじめに類する行為」とは言えないと判断した。

生徒の保護者は、被害の実態を把握したいなどとして、町に対していじめアンケートの開示を求める申し入れをおこなった。しかし町側は「個人情報」などとして開示を拒否したことで、提訴に至ったという。

開示をめぐる訴訟では、個人を特定できる情報を除いての開示は可能で、全面不開示としたのは違法だと判断した。

個人情報に配慮しながらの開示は可能

いじめアンケートの内容については、「書かれている内容」こそがいじめの有無や状況を示すものである。

アンケートの記入者や第三者の生徒の個人情報への配慮は当然必要ではある。しかしながら、それを理由に全面不開示にするのは、いじめの事実関係そのものを隠蔽することにもつながりかねない。書いた人や第三者の生徒が特定されないような形での開示はいくらでも可能ではないか。個人情報として開示拒否するという論理には無理があると感じる。

今回の判決は歓迎する。町は控訴することなく、部分開示に応じてほしいと願う。