大阪教職員組合は2020年10月16日、2021年5月に府内の小学生を対象に実施予定の「小学生すくすくテスト」の導入中止を求める緊急要望をおこなった。
同テストは大阪府が、公立小学校(義務教育学校前期課程・支援学校小学部を含む)の5・6年の全児童を対象に実施するとしている。
学力状況の調査・向上を目的にしているとする一方で、大阪府教委が市町村別結果を公表するとしている。また市町村教育委員会の判断により、各学校別の結果を公表することも可能としている。
これらのテストの性質から、「全国学力テスト」や大阪府独自の「中学生チャレンジテスト」と同様、学校間や地域間の競争を煽り、序列化につながるおそれが指摘されている。また学校現場でも、テストの点数向上のためのテスト対策が加熱するおそれがあるとも指摘されている。
要望書では、地方教育行政の組織および運営に関する法律(地教行法)をだし、「教育行政は学校教育環境改善の調査はできるが児童生徒の評価につながるテストはできない」などとして、権限逸脱だとも指摘した。
大阪府では維新の政治になってから、学力テストの点数を成績のすべてとするかのような一面的な価値観・学力観が強まっている。全国学力テストの市町村別成績公表を煽ってきた一つが、維新府政下の大阪府でもある。また府独自に「中学生チャレンジテスト」を導入して高校受験の評価資料とし、さらには小学生にも同様のテストを導入しようとしていることになる。
全国学力テストについては、前年度の学年末に「振り返りプリント」として類題を配布し宿題にするなどの問題があったことも指摘されている。府の独自学力テスト「小学生すくすくテスト」まで加わることで、このような状況をさらに悪化させることにもつながりかねない。
この手の統一学力テストは、学校現場にとって役立つものではない。