大阪市廃止構想(いわゆる「大阪都構想」):保育所入所にも影響

大阪市を廃止し、現大阪市域を4つの特別区に分割して市の権限と財源を奪う、維新がいうところのいわゆる「大阪都構想」。

2015年に一度否決で決着が付いたはずのものであるにもかかわらず、維新がしつこくごり押しし、前回と「新特別区の区割り」以外はほとんど変わらない内容で再び2020年11月1日にも2度目の住民投票をごり押ししようとしている。

この「大阪都構想」なるものについては、住民に身近な行政をできなくさせる、財源的にも十分な保障が得られない、大阪市が一元的におこなっていた事務を大阪府・特別区・一部事務組合にわけることで市民の目が届きにくくなるなどの弊害が指摘されている。

市民が直面する個別の問題についても、悪影響が指摘されている。

保育所事務で考えられる影響

例えば保育所は、大阪市から特別区に移行することになる。

そのことでどうなるか。大阪市では身近な区役所が窓口となりながら、保育所入所などの事務については必ずしも行政区の枠にこだわらず、全市的な視点でおこなっていた。行政区の境界付近に住んでいる人などについては、住所が隣の行政区になるところでも、区の境界をまたいで保育所への入所を斡旋するということもあった。

しかし大阪市の解体でどうなるか。そのことは「特別区設置協定書」にははっきりとした形では記されていない。

しかしながら一般的にいえば、それまでは「大阪市の中の行政区」で自治体は同じ大阪市だったのが、特別区という別の自治体にわけられることで、地理的には近所でも隣の区になる地域の保育所には入れないことになる。

具体的な地域の名前を挙げると、中央区・天王寺区・東成区の境界となる玉造界隈、西成区と阿倍野区の境界付近、此花区と福島区との境界付近など、生活圏は一体となっているが新特別区の境界が引かれるとされる地域を中心に、そのような弊害が現れることが予想される。

同じ「区」という名称なので、維新の側もわざとわかりにくく宣伝して「特別区設置は行政区の合併」かのようにミスリードする宣伝(はっきり言って、デマ流布に近い内容)をおこなっている。しかし「大阪市という自治体を廃止し、現大阪市域に、4つの自治体である特別区を設置する。その特別区は、現行の大阪市よりも権限が著しく小さくなる。それどころか一般の市よりも権限が小さい代物」というのが、大阪市廃止構想、いわゆる「大阪都構想」の本質である。

仮に他特別区=他自治体となる地域からの受け入れを認めるとなると、特別区=自治体どうしが協定を結ぶ必要がある。しかし協定を結んだところで、希望者が受け入れられるという保障はどこにも見当たらないということになる。自治体としては自分の地域が優先になることはいうまでもない。またそもそも、協定が結ばれるかどうかすら不透明だということになる。

2015年の「都構想」住民投票の際にもこの問題が指摘されていた。大阪市などは2015年当時「行政手続き上の一般論」としながらも「自治体同士の協定になる」とする見解を示していた。

今回についても、2015年当時と同じ構図であることから、当時の見解を準用して差し支えないと思われる。今回も同じ問題が継続して生じているということになる。