性的虐待をおこなった教員・保育士へのより厳しい対応を検討:文科・厚労両省

児童・生徒への性的虐待行為をおこなったとして懲戒免職や資格取り消しなどの処分を受けた教員や保育士について、より厳しい対応が政府で検討されているという。

教員免許については、現行では懲戒免職によって失効となるものの、3年後には再取得が可能となっている。再取得が可能になるまでの期間を延長することが検討されている。

さらに官報に掲載された教員免許失効者のデータベースを見直すことも検討している。現行では文部科学省や教育委員会の端末から、過去3年間の情報を検索できる仕組みとなっていて、それ以前の情報は削除されるという。しかしデータベースを見直し、検索可能期間を40年に延長することを検討している。

保育士資格についても、処分取り消しから2年後に再登録できることになっているが、再登録が可能になるまでの期間を延長することが厚生労働省で検討されている。

一歩前進だが、不十分

児童・生徒への性的虐待行為は、児童生徒の心身に重大な傷を残し、被害者を一生にわたって苦しめる危険性すらあるものである。そのような行為をおこなった教師や保育士への厳しい対応は当然である。

文部科学省のデータベースで「40年」としたのは、一般的なライフサイクルを考えると、事実上半永久的に近い扱いということにはなる。

性的虐待をおこなう教師や保育士は常習性も高く、再発を防ぐためにもそういう者を現場に入れないという対応が必要となってくる。その意味では、検討されている対応は一歩前進ではある。

しかしその一方で、これが適用される範囲は必ずしも十分ではないとも考えられる。

というのは、任免者による懲戒免職や刑事事件での有罪に至る前に、被害訴えがもみ消される、事件の調査が十分におこなわれないなどの状況が横行している状態では、本当に排除すべきものがのさばってしまうのではないかとも考えられる。

児童・生徒への性的虐待事件にしても、ほかにもいわゆる「体罰」や「教師によるいじめ」などの暴行・虐待事件にしても、調査をする側は教育委員会である。加害者側が強硬に否認する・被害者やその周囲に威圧をかけるなどして事件をもみ消そうと図ったり、教育委員会も加害者側をかばうような対応を取るなどして、加害者側にとって有利な裁定がなされることも多い。

加害者が懲戒免職などの処分を受けず、また実名も公表されず、さらには事案があったことそのものも公表されないことで、加害者は周囲に知られずに他校に転任するだけで済む。そのことで新たな被害者を生み出したケースもあった。

また依願退職などをした上で、性的虐待行為などが問題になった前歴を隠して他地域の教員採用試験を受け直したり講師登録をおこなって他地域に潜り込み、そこで再び性的虐待行為など問題行動を繰り返すケースもあった。

そういう事例は枚挙にいとまがない。

そういうことを防ぐためにも、事件発覚時には、第三者委員会による調査など、より客観的で公正な方法での調査と事実認定が必要ではないかと考えられる。

被害者の立場に沿った対応を

こういうときに「加害者とされた者の人権」などと言い立て、事実上加害者の行為を擁護し被害者を攻撃して平然としている者がいる。

職業選択を制限されるだの、加害者とされた者へのプライバシー侵害だの、そもそも「加害行為」自体が事実無根(こういう場合はたいてい、自分は正当なことをしたのに問題視された、だから事実無根という論調で、事件の事実そのものは否定できない)だのと。

また事件が報道される事件自体が氷山の一角ではあるが、報道された場合でも加害者側が「自分への人権侵害、名誉毀損」などと一方的な言いがかりを付け、マスコミに抗議をかけたり、さらには報道を引用しただけの個人サイトまで脅して気に入らない記事を不正に消させようとするなどの行為も横行し、被害も報告されている。事件の事実そのものは否定できないから、人目に付かないように隠そうとする手口である。

しかしそういう言い分は、一言でいえば「屁理屈」でしかない。「人権」概念を本来の意味とは正反対に近いものに恣意的にねじ曲げ、加害者の反社会的行為・横暴を「権利」として扱い、被害者の人権などどうでもいいと主張しているのに等しいという印象を受ける。

そんなことよりも、被害者の受けた被害を少しでも回復させることや、理不尽な被害を受ける人をなくすような取り組みを社会的にもおこなっていくことが、本当の意味での人権尊重である。