大阪府八尾市立小学校に在学していた当時同級生からいじめを受けてケガをし不登校に追い込まれたなどとして、女子児童(現在は中学校に進学)が2020年9月11日付で、加害児童の両親と八尾市および大松桂右八尾市長を相手取り、約2875万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
児童側が2020年9月15日に明らかにした。
いじめは児童が小学校4年だった2017年6月頃に発生した。複数の同級生から「死ね」「デブ」などの暴言を受けたという。2018年2月には、同級生だった男子児童から暴行を受け、指を骨折するなどのケガを負った。
児童は5年時に不登校状態となり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。さらに加害児童側や学校・市教委の対応によってPTSDを悪化させ、自殺を試みたこともあったという。
2020年度現在は中学校1年だが、進学先の中学校へも登校できない状態が続き、体調がすぐれない状態が続いているという。
児童の保護者はいじめ防止などを求め続けていたが、市教委や学校側の対応は十分ではなかったと訴えている。保護者側によると、当時の学校側は、児童の被害の訴えに対し担任教諭が「(加害児童を)今日は、許したって」と発言したり、保護者の相談に対して対応を先延ばしたという。
この問題では八尾市の第三者調査委員会が2020年1月、いじめを認定する調査報告書を出した。


この事件では、加害者側保護者が被害者側に対し、賠償義務がないことの確認を求める別の訴訟を提訴している。
いじめそのものも悪質であるが、いじめへの対応が十分だったのかが問われる必要がある。
いじめ訴訟で市だけでなく市長個人も被告となるのは珍しいことだという印象を受けるが、いじめについてどのように対応してきたのかを問い、また被害者側が受けた被害を少しでも回復する手立てとなってほしいと感じる。
(参考)
◎大阪・八尾の女児いじめ 市長、同級生側を提訴(産経新聞 2020/9/15)
◎大阪・八尾のいじめ 加害生徒の親と市に賠償求め提訴 被害女子生徒の両親会見(毎日新聞 2020/9/15)
◎小学校のいじめ八尾市などを提訴(NHK大阪放送局 2020/9/15)
◎いじめを受けた女子児童と両親…相手児童の保護者と八尾市に”損害賠償”求め提訴(関西テレビ 2020/9/15)