学校関係事件被害者遺族への脅迫を繰り返した小学校講師

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高知県南国市立十市小学校の臨時講師だった人物(同県香南市野市町本村在住)が、複数の学校関連事件の被害者関係者を繰り返し脅迫するなどしたとして、2020年6月に逮捕され、その後複数回にわたって再逮捕されていると報じられている。

なお当該講師は、勤務校では特別支援学級を担任していたが、逮捕後の2020年7月20日付で依願退職している。

報道で伝えられた容疑者の行為

報道によるとこの人物は、宮城県石巻市立大川小学校事件・大阪教育大学附属池田小学校事件といった学校関連の事故について、それぞれの遺族・関係者に対して敵意を抱いたという。

▼大川小学校事件:2011年3月11日の東日本大震災の際、宮城県石巻市の同小学校周辺に津波が押し寄せ、児童と教職員が津波に巻き込まれて死亡した事故。事前の防災計画や、当日の避難誘導に問題があったのではないかと指摘された。
▼附属池田小学校事件:2001年6月8日、大阪府池田市の同小学校校内に暴漢・宅間守が乱入し、複数の児童を殺傷した事件。この事件を機に、学校での不審者侵入対策を中心とした安全対策が見直された。

そして、これらの事件で、遺族・関係者への脅迫や殺害予告などの内容を記した手紙やメールを繰り返し送りつけたと指摘されている。

  • 2020年1月、大川小学校事件の遺族を「包丁で刺し殺す」などと記載した内容を報道機関に郵送した。報道機関が警察に届け出、警察が遺族に知らせたことを通じて、遺族を脅迫した。
  • 2020年2月、石巻市役所に対し、遺族への殺害予告のほか「車で突っ込んで慰霊碑を壊す」などと記した文章を郵送し、教育委員会の業務を妨害した。
  • 2019年9月、大阪教育大学附属池田小学校に対し、事件遺族の名前を名指しして「生命をたたきつぶしてやる」などと脅迫する手紙を郵送した。手紙にはカミソリの刃を同封していた。
  • 2019年10月、附属池田小学校事件の別の遺族の名前を名指しし「先生いじめをするなら制裁をくわえる」などと記した手紙を学校に郵送した。
  • 2020年6月上旬、大阪教育大学附属池田小学校に対し、6月8日の追悼記念式典に乱入すると予告していると受け取れる形で、「6月8日に決着つけようや」「式典どころじゃないね」「遺族が学校に謝罪するなどの要求を受け入れなければどうなるかわからない」などと脅迫する内容のメールを送った。

2020年6月5日に、大川小学校関係者への脅迫で最初に宮城県警に逮捕された。逮捕されたために実際に大阪教育大学附属池田小学校に押しかけることはなかったものの、その後附属池田小学校関係者への脅迫でも再逮捕されている。

報道で伝えられるところによると、この容疑者は犯行を認め、動機について「学校の先生を批判しているのが許せない」などとしているという。

被害者中傷の思考

こういう思考が、事件・事故の被害者への中傷や攻撃を正当化する原動力になっているのだろうかと考えると、恐ろしくなる。

被害者が被害を訴える行為それ自体が気に入らないから、被害を訴える人に敵意を向けて攻撃するという異常な思考は、学校関係の事件に限らず、社会の多くのところで発生している。

こんなもの、いじめ加害者の論理にほかならない。

とりわけ、学校関係の事件・事故については、内容に関わりなく学校に意見する行為そのものに敵意を向け、気に入らない指摘を受けると、ないしは「学校を批判している」と認定したような主張をしている人を見るとすべて「悪意をもった妨害者による、学校への攻撃、教師への個人攻撃」という内容にすり替え、「学校や教師に従わない・楯突く者は“モンスター”・“クレーマー”。そういう相手には何をしてもいい」とばかりに振る舞うものも出る。

「モンスター」「クレーマー」かどうかは、主張の中身を個別に検討した上で判断するものである。自分たちにとって意に沿わない指摘をした相手がすべてそのような手合いであるとは限らない。しかし学校側に「逆らう」人間はすべてそのような手合いであるかのような短絡的な決めつけで、異常な攻撃をおこなう。

これまでの学校関連の事件・事故でも、いくつもこんな中傷事件が起きてきた。被害者側関係者が、そういう行為に伴う二次被害で苦しめられたケースも多い。

大川小学校事件にしても附属池田小学校事件にしても、当該校や関係した教職員個人の責任を問うというよりも、学校システム全体の問題として事件の詳細を検証し、教訓を後世に伝えていくことが必要な案件であろう。そのことが将来的には、同種の事故を未然に防いだり、仮に事故そのものを防げなかったとしても事故に直面したときにより効果的な対応をして被害を最小限に食い止めることにもつながっていくとも考えられる。現場の教職員がおこなう対応のみならず、教育委員会や教育行政、学校外の地域や社会での支援なども含めた必要な体制づくりなど、多面的な検討・検証が必要になってくる。

しかし学校関係の事件・事故を検証することを「学校や教師への攻撃、誹謗中傷、名誉毀損」「被害者と名乗るものが騒ぎを大きくしている」とすり替えて攻撃する手合いが続出しているせいで、事件・事故が隠蔽されたり、教訓が活かせなくなることになる。

こういう行為は、学校を守っているつもりでも、実際は妨害していることになる。

当該者については、法律上可能な限りの厳罰に処すことを願いたい。また同時に、このようなことを公然と主張できるような風潮をなくしていくことも重要になる。