大阪市教科書採択、歴史・公民ともに育鵬社教科書を一掃

大阪市教育委員会は2020年8月25日に教育委員会会議を開き、2021年以降に使用する中学校教科書採択を実施した。

大阪市では前回2015年に当時の全市1区採択地区制度のもとで育鵬社の歴史・公民教科書が採択されていた。

今回の採択状況は懸念されていたが、今回4採択地区に分かれての採択では、歴史・公民ともに育鵬社はいずれも不採択となり、他社へと採択変えとなった。

歴史は第1地区で帝国書院、第2地区で日本文教出版、第3・4地区で東京書籍が採択された。公民は第1・2・3地区で東京書籍、第4地区で帝国書院がそれぞれ採択された。

第1地区:大阪市此花区・港区・西淀川区・淀川区・東淀川区
第2地区:大阪市北区・都島区・福島区・東成区・旭区・城東区・鶴見区
第3地区:大阪市中央区・西区・大正区・浪速区・住之江区・住吉区・西成区
第4地区:大阪市天王寺区・生野区・阿倍野区・東住吉区・平野区

いずれも、答申でもっとも評価の高かった教科書を採択したことになった。育鵬社については、歴史・公民ともに答申でも名前は出ず、また教育委員からの質疑でも取り上げられなかった。

歴史では、高校教科書では「歴史の山川」として定評がある山川出版社について選定委員会ではどう評価したかという質問が出された。今回中学校歴史教科書に初参入となる山川出版社については「全体的には難しい教科書」などとして、選定委員会や専門委員会の答申ではいずれの採択地区でも他社に優位性があると判断されたことが指摘された。

また公民では、日本文教出版について「大阪のことを紹介している」などとする質問が出された。選定委員会からの説明では、その点も議論になったものの、全体として他社教科書のほうが評価が高かったので、他社を答申したことなどが紹介された。

また市立中高一貫校(2校)では、咲くやこの花中学校は歴史が日本文教出版・公民は東京書籍、水都国際中学校は歴史・公民とも東京書籍が採択され、中高一貫校からも育鵬社が一掃された。

地理・地図では、4地区および中高一貫校2校ともにそれぞれ帝国書院が採択された。

大阪市での採択替えは大きい

大阪市では維新が過去に、育鵬社など極右的な内容を視野に入れている「ふさわしい教科書の採択」を求める要望や選挙公約を出すなどしてきた。また2015年採択では、一部教育委員の強引な運営や、フジ住宅の「ヘイトハラスメント」問題と結びついたアンケート集計不正疑惑、教育委員が当時の大阪市長・橋下徹に事前に了解を取った元で「2番目に評価が高い教科書を副読本として市費で購入する」とする異例の決議をおこなったこと、といった不審点があった。

5年前の不審点を市民世論によって乗り越え、当時から入れ替わった教育委員もていねいな審議をおこなったことになる。5年間苦しめられたとはいえども、それを一掃したことは大きい。