教科書採択、8月に採択予定の地域の状況

2020年中学校教科書採択では、これまで社会科で育鵬社を採択していた自治体で、育鵬社から他社に採択替えする事例が相次いでいる。

一方で採択は8月いっぱいまでおこなわれる。まだ採択していない地域や日程が未公表・非公表の地域もあり、予断を許さない状況となっている。

横浜市

生徒数・教科書給付冊数では全国で一番大きな教科書採択地区でもある横浜市。8月4日の教育委員会会議で採択されることになっている。

2009年に当時18行政区各区ごとに採択地区を設定していたうちの一部で自由社が採択され、全市1採択地区制度に移行した2011年以降は育鵬社が採択され続けている。

教科書採択の過程も不透明だと指摘されている。不透明さが改善されるかの監視も必要である。

横浜市での教科書採択は他地域以上に注目されている様子。少しでもよい結果になるよう願いたい。

名古屋市

教科書採択地区としては2番目の大きさともなる名古屋市では、これまで育鵬社やそれに類する教科書の採択は阻止されてきたが、2020年採択では怪しげな動きが出てきているという。

断片的な情報では、採択を予定していた日の会議では結論が出ず、歴史・公民のみ別日程での持ち越し審議になったという。

河村たかし名古屋市長が南京事件(南京大虐殺)の否定論者であることなどで、名古屋市では前回・前々回も育鵬社教科書採択の危険性があると指摘されてきた。

それに加えて今回採択では、河村市長も旗振り役となっている極右派からの「大村秀章愛知県知事リコール運動」との関係で、教科書採択についてもリコール支持派と重なる勢力からの育鵬社支持攻勢が強まっているとも指摘されている。

気がかりであるが、懸念を乗り越えてよい結果になることを願いたい。

大阪市

前回2015年には一部教育委員の強引な策動で育鵬社が採択され、またその際に教科書アンケート集計での不正も明らかになった大阪市。採択の動向が気がかりの自治体の一つ。

大阪市では8月4日午後3時30分からの教育委員会会議で、教科書選定委員会からの答申を受領することになっている。例年のスケジュールを元に考えると、答申受領後に日を置いて、採択のための教育委員会が開催されるとみられる。

大阪市の教育委員は、2015年当時とは入れ替わっている。

2017年小学校道徳教科書採択、2018年中学校道徳教科書採択、2019年小学校教科書採択の際の各議事録を読むと、複数の現教育委員が「学校現場、児童生徒や先生方の使いやすさが一番」「選定委員会の答申を尊重して判断した」と言及している。

今回の教科書採択でも同じような対応を取ってほしいと願う。

大阪府泉佐野市

大阪府泉佐野市では、教育再生首長会議にも参加する右派系で維新との関係も悪くないとされる市長のもと、2015年に育鵬社教科書が採択された経緯がある。

前回2015年採択では、選定委員会では育鵬社の評価が相当低かったにもかかわらず、教育委員が育鵬社を推して採択された経緯がある。泉佐野市では、2015年当時の教育委員の大半が再任されている。ここも気がかりなところの一つである。