不適切指導で自白強要、当該生徒は自殺未遂・転校

週刊文春(ウェブ版)2020年7月13日号に『「保健室に閉じ込められ、自白を強要された」学校の不適切指導が自殺をまねく』が掲載されている。

これによると、東北地方の高校で、同級生の女子生徒の虚言によりあらぬ疑いを着せられた男子生徒が、女子生徒の言い分を鵜呑みにした教師から保健室に長時間閉じ込められるなどして自白を強要され、自殺未遂に追い込まれるなどした事案が紹介されている。

事件の経過

事件は2017年2月に起きた。男子生徒は体育の授業中、突然教師から保健室に呼び出されて、数時間にわたって事情聴取を受けた。

教師は「同じクラスの女子生徒が、この男子生徒から卑猥なメールを送信された、音楽室で胸を触られたと訴えている」として、男子生徒を問いただした。その際に保健室の鍵をかけられ、教師2人がかりで尋問される形になった。

バスケットボールの授業だったこともあって、半袖短パンで授業を受けていた。時期は真冬だったにもかかわらず、着替えることなども許されずに半袖短パンのまま保健室に軟禁されるような形になった。

この男子生徒にとっては全く身に覚えのないことだった。男子生徒によると、当該女子生徒とは以下のようなやりとりはあったという。

  • 2016年12月頃、音楽室でこの女子生徒と男子生徒が2人で話をする機会があった。その際に、女子生徒が別の生徒の悪口を言い続けるような言動に対して、男子生徒が注意する形になった。
  • 女子生徒がこの男子生徒とメールアドレス交換をし、メールのやりとりをするようになった。しかし女子生徒から夜中に大量のメール送信や、返信しなかった場合に責められる対応などがあり、男子生徒はうんざりするような状況に追い込まれた。2017年2月頃、「メールのやりとりはやめたい。アドレスを消してほしい」と申し入れていた。
  • さらにメールのやりとりをやめたいと申し入れた数日後、女子生徒と男子生徒が同じ掃除の班になり、女子生徒が掃除をしないことに対して男子生徒が注意をおこなった。

男子生徒にとっては、身に覚えのないことで事実関係を捏造されて陥れられ、虚偽申告されたことになる。

さらに女子生徒は警察に被害届を出した。

精神的に追い詰められた男子生徒は、自宅で自殺を図ろうとした。家族が気づいて未遂に終わった。警察での捜査では、女子生徒の被害訴えの内容が二転三転し、最終的には男子生徒の疑いは晴れて不起訴となった。

学校側は男子生徒について、「女子生徒が怖がっている」として学校に来るなと命じた。学則などに基づく懲戒措置ではなく、自主的な休学・欠席扱いにして、県教委への報告を逃れようとしたとも見受けられるという。

生徒の保護者は、車で片道2時間かけて最寄りの弁護士事務所を訪問して相談したが、その弁護士は冷たい反応だったとされる。遠隔地でもありほかの弁護士を探すのも困難として、結局は転校を選ぶことになった。

女子生徒が男子生徒を陥れようとしたことも問題ではあるが、学校側がきちんと事実関係を確認していればこのような事態に陥るのを防げたはずでもある。男子生徒に対して濡れ衣を着せ、一方的な「指導」をおこない、自殺未遂や転校に追い込んだなど、生徒への人権侵害であり許されるものではない。

指導のあり方を再検討するべき

この事件に限らず、学校では過度の不適切な事情聴取や「決めつけ」などによる一方的な叱責によって、生徒を自殺・自殺未遂に追い込んだり、転校や不登校に追い込むなどする事例が、時々報告されている。

埼玉県立高校(2004年)、北海道立高校(2013年)、鹿児島県奄美市立中学校(2015年)、福井県池田町立中学校(2017年)、兵庫県尼崎市立中学校(2017年)など、いくつも類似事例がある。

生徒を追い込むような不適切指導はあってはならない。しかも今回のケースでは身に覚えのないことを決めつけて攻撃するという「冤罪」というべきものでもあり、さらに悪質なものとなっている。