育鵬社教科書採択しないよう求めるアピール:横浜市

市民団体「横浜教科書問題市民・有識者会議」は2020年7月10日、中学校教科書採択について、育鵬社の社会科歴史的分野および公民的分野を採択しないよう求めるアピール文書を発表し、横浜市と市教育委員会に提出した。

アピール文書では、市内在住・在勤の大学教員・弁護士・医師などが呼びかけ人となり、元教員など584人が賛同している。

横浜市は2009年中学校採択で、当時18行政区各区ごとに採択地区を設定したうち、9行政区で自由社が採択された。さらに全市1採択地域制度に変更された2011年以降、歴史・公民ともに育鵬社教科書が採択され続けている。

育鵬社の歴史・公民教科書は、侵略戦争正当化など特異な歴史観・社会観で記されていることが問題になっている。学習の観点からみても、重要事項に関する記述が不十分ないしは一方的で、生徒の理解を妨げ、中学校での学習だけでなく、高校入試や高校以降での学習にも支障が出ることが指摘される代物でもある。育鵬社教科書を採択している地域の学習塾では、社会科歴史・公民の指導を補助教材で対応している場合もあるという。

また育鵬社教科書については、支持する勢力が政治的な手法やルール違反とも疑われるような手法で強引に押しつけを図っていることも指摘されている。

育鵬社教科書の採択率は全国では6%前後となっている。これは、一番大きな採択地区の横浜市と、二番目に大きな採択地区の大阪市を抑えたことなどで、採択率が跳ね上がっていることにもなる。

アピールでは、横浜市が育鵬社教科書を使っていることについて「異常な事態」だと指摘している。

現場からは求められてもいない、それどころか使えないと不評の教科書を、一方的に押しつけるような対応はおかしい。また横浜市では、採択の過程でも教育委員の無記名投票などおかしなことも指摘されている。採択のやり方の不透明さについても再検討を要する。

横浜市での教科書採択を決める教育委員会会議は、2020年8月4日に開かれるとのこと。採択の行方を注視していきたい。